水の循環と水資源


水の循環と水利用

  水は、土地とともに我が国の国土を構成する重要な要素であるとともに、生命にとって必要不可欠なものである。しかしながら水の利用にあたっては、人間の社会経済活動にともない、自然の水循環系に対して、水資源開発、供給施設、排水処理施設等による人為的な操作が加えられている。このため、「健全な水循環系」の構築により、人類及び地球上の生態系が、水の恵みを持続的に受けられるようにすることが必要不可欠である。

日本の水収支


世界各国の降水量等

  我が国は世界でも有数の多雨地帯であるアジアモンスーン地帯に位置し、年平均降水量は1,718mmである。これは世界の年平均降水量約970mmの約2倍となっている。一方、人口一人当たりの年平均降水総量をみると、約5,100m3/年・人と、世界の平均である22,000m3/年・人の4分の1程度である。
  年平均降水量を地域別にみると、北海道、関東臨海、東北、関東内陸及び山陽で全国平均を下回っている。一方、北陸、南九州、東海、近畿、山陰、四国、北九州、沖縄で全国平均を上回っている。

世界各国の降水量等
国名 人口
(万人)
面積
(千km2
年降水量
(mm/年)
年降水総量
(km3/年)
人口
一人当たり
年降水総量
(m3/年・人)
水資源量
(km3/年)
人口
一人当たり
水資源量
(m3/年・人)
カナダ 3,115 9,971 522 5,205 167,100 2,740.0 87,970
ニュージーランド 386 271 2,010 544 140,801 327.0 84,671
スウェーデン 891 450 700 315 35,351 178.0 19,978
オーストラリア 1,889 7,741 460 3,561 188,550 352.0 18,638
インドネシア 21,211 1,905 2,620 4,990 23,526 2,838.0 13,380
アメリカ合衆国 27,836 9,364 760 7,116 25,565 2460.0 8,838
世界 605,505 135,641 973 131,979 21,796 42,650.0 7,044
オーストリア 821 84 1,191 100 12,164 55.0 6,698
フィリピン 7,597 300 2,360 708 9,320 479.0 6,305
スイス 739 41 1,470 61 8,217 40.0 5,416
タイ 6,140 513 1,420 729 11,867 210.0 3,420
日本 12,693 378 1,718 649 5,114 423.5 3,337
フランス 5,908 552 750 414 7,001 180.0 3,047
スペイン 3,963 506 600 304 7,661 111.8 2,821
イタリア 5,730 301 1,000 301 5,258 160.7 2,804
イギリス 5,883 244 1,064 260 4,415 145.0 2,465
中国 127,756 9,597 660 6,334 4,958 2,812.4 2,201
ルーマニア 2,233 238 700 167 7,474 37.0 1,657
イラン 6,770 1,633 250 408 6,031 128.5 1,898
インド 101,366 3,288 1,170 3,846 3,795 1,260.6 1,244
サウジアラビア 2,161 2,150 100 215 9,949 2.4 111
エジプト 6,847 1,001 65 65 951 2.3 34
(注)
1. 日本の降水量は昭和46〜平成12年の平均値である。世界及び各国の降水量は1977年開催の国連水会議における資料による。
2. 日本の人口については国勢調査(平成12年)による。世界の人口については United Nations World Population Prospects, The 1998 Revision における2000年推計値。
3. 日本の水資源量は、水資源賦存量(4,235億m3/年)を用いた。
世界及び各国については、World Resources 2000-2001(World Resources Institute)の水資源量(Annual Internal Renewable Water Resources)による。

地域別降水量及び水資源賦存量
地域区分 人口
(千人)
渇水年 平均
降水量
(mm/年)
水資源
賦存量
(億m3/年)
1人当たりの
水資源賦存量
(m3/年・人)
降水量
(mm/年)
水資源
賦存量
(億m3/年)
1人当たりの
水資源賦存量
(m3/年・人)
北海道 5,683 955 402 7,074 1,163 576 10,135
東北 12,293 1,327 610 4,962 1,635 855 6,955
関東内陸 7,904 1,222 160 2,024 1,562 241 3,049
関東臨海 33,418 1,199 87 260 1,533 133 398
東海 16,991 1,608 465 2,737 2,083 668 3,931
北陸 3,131 1,955 155 4,950 2,408 212 6,771
近畿内陸 5,430 1,345 83 1,529 1,729 130 2,394
近畿臨海 15,426 1,404 112 726 1,835 177 1,147
山陰 1,375 1,471 81 5,891 1,897 125 9,091
山陽 6,358 1,219 121 1,903 1,643 213 3,350
四国 4,154 1,606 165 3,972 2,155 268 6,452
北九州 8,630 1,442 106 1,228 1,977 202 2,341
南九州 4,816 1,886 262 5,440 2,491 409 8,493
沖縄 1,318 1,665 15 1,138 2,123 26 1,973
全国 126,926 1,346 2,825 2,226 1,718 4,235 3,337
(注)
1. 国土交通省水資源部調べ及び総務省統計局国勢調査(平成12年)による。
2. 平均水資源賦存量は、降水量から蒸発散によって失われる水量を引いたものに面積を乗じた値の平均を昭和46年から平成12年までの30年間について地域別に集計した値である。
3. 渇水年水資源賦存量は、昭和46年から平成12年までの30年間の降水量の少ない方から数えて3番目の年における水資源賦存量を地域別に集計した値である。
4. 地域区分については、 用語の解説を参照。
5. 四捨五入の関係で集計があわない場合がある。


年降水量の経年変化

  全国51地点における平成14年の年降水量の平均は1,408mmである。その経年変化は、昭和40年頃から少雨の年が多くなっており、昭和48年、53年、59年、平成6年及び8年は年降水量が年平均降水量を大きく下回っている。特に最近20〜30年間は、少雨と多雨の開きが大きくなっている。

日本の年降水量の経年変化