三重町(現豊後大野市の一部)は、大分県の南西部に位置し、町の西部には清流白山川が流れています。
傾山をおおうブナ、マツなどの原生林を少しずつ長い年月をかけて流れ出る水は、やがて清らかな流れとなって清流白山川に注ぎます。
白山渓谷は原生林と奇妙な岩肌のコントラストが、季節ごとに彩を変え、見飽きることを知りません。断崖がくり抜かれていることからユーモラスにそう呼ばれ
ている「ほげ岩」周辺にはゲンジボタルが群棲し、6月中旬の宵時から深夜にかけての光の乱舞は、まさに自然のおりなすファンタジーです。
三重町では、住民の間での自然環境・水環境の保全意識が高く、各種団体が活動を続けており、ゲンジボタルが飛び交う白山川の清き流れも住民の強い保全意識
と活動のたまものです。
高度成長期、河川汚濁により白山川からゲンジボタルが絶滅状態に陥ったことがありました。
その際、町村を超えて、白山川流域の地区民の総意により、「白山川を守る会」が結成され、水洗便所の設置禁止、有リン合成洗剤の使用禁止、農薬使用の軽
減、の3原則を定め地道な活動を続けています。
また、定期的に地区内の住民総参加により、川の草刈り、空き缶拾いやゴミ収集、水質検査、水棲生物調査などの河川浄化活動も行われています。
この結果、ゲンジボタルはみごとによみがえり、町内外からたくさんの人が訪れるようになり、平成7年、95九州ホタルサミットが開催されるなど、ゲンジボ
タルの復活により交流の輪も広がっています。
さらに、町の中心部を流れる三重川でも河川浄化活動が行われており、「三重町くらしを考える会」は、河川の汚濁の主因をなしている廃食油を回収して、石け
んを作り、資源の再利用に努めています。