指宿市は、薩摩半島の最南端、鹿児島湾口に位置し、中央部には九州一の大きさを誇る池田湖、南西部には薩摩富士の別名で知られる秀峰開聞岳、南部には南国ムード漂う長崎鼻、東部には潮の干満で陸続きになる知林ヶ島を有するとともに、世界的に珍しい「天然砂むし温泉」をはじめとする、豊富に湧出する温泉に恵まれています。
池田湖は、湖水面の標高66メートル、最大水深233メートルのカルデラ湖であり、住民生活と密接な関係を持つとともに、多くの神話伝説が残る神聖な湖として知られています。古くは、1857年から水田利用を目的として、時の藩主島津斉彬公の命によりカルデラ外壁の掘削工事が始まり、1876年までに人夫延べ11万人を要して水田80ヘクタールのかんがい施設が完成したといわれており、近年では、天然のダムとして、南薩地域の約6,000ヘクタールの広大な耕地を潤す大規模かんがい用水など多目的に使用されています。
また、池田湖からの伏流水といわれる清涼な唐船峡(とうせんきょう)の水源には水神ミヅハノメ神が祭られており、地域住民の飲料などに使用され親しまれてきました。水源の近くでは、湧水量日量10万トン、水温摂氏13度の清涼な水を活用したそうめん流しが夏冬を問わず賑わい、年間約20万人の観光客に利用されています。
その下流では清涼な水質と一定した水温の水を活用したクレソン栽培やチョウザメの飼育が実施され、豊富な水を利用した新しい試みも盛んになってきています。
また、周辺には、竜宮伝説において、井戸水に写った山幸彦の姿が乙姫に見初められたと伝えられる日本最古の井戸、玉の井(たまのい)の史跡などもあります。