第9回全国水の郷サミット開催
土地・水資源局 水資源部水源地域対策課
水の郷百選と水の郷サミット
古事記で我が国のことを、「豊葦原(とよあしはら)の瑞穂(みずほ)の国」と呼ぶ程、我が国には豊かな水があり
ます。日常生活で水を上手に利用し、治める中から地域固有の「水文化」が形成されてきましたが、工業化や都市化が進展する中で、次第に身近な水が失われる
とともに、日常生活における水のありがたさや関心が薄れ、地域固有の「水文化」が衰退してきているといえるでしょう。地域の風土に根ざした個性豊かな水と
人とのかかわりを改めて見直すことが必要です。
地域固有の水をめぐる歴史や生活文化を維持・発展させるとともに、優れた水環境の保全に努め水を活かしたまちづくりに
優れた成果をあげている地域を再発見し、これを広く紹介していくことを目的として、全国107の地域について平成7年から「水の郷百選」として認定してい
ます。
認定された市町村は「全国水の郷連絡協議会」を組織し、その大会である「水の郷サミット」を平成7年から年1回開催し
ています。
開会セレモニーでの会長(大石日田市長)挨拶
第9回サミット
今年は10月2、3日に大分県日田市で開催されました。
日田市では筑後川が分流し、三隈(みくま)川として市の中心部を流れるほか、花月(はなつき)川などの河川が東西に流
れています。かつて豊かできれいだった三隈川も生活廃水の流入、台風による森林の水源涵養能力の低下等により、河川環境が悪化した時代がありました。この
ような状況に対処するため日田市では公共下水道等の整備に着手する一方、水源涵養林の復興・整備など様々な事業の実施、住民による河川清掃などに努めた結
果、現在では、「水郷(すいきょう)ひた」としてその名が知られています。
日田市では地域の水と緑を様々な分野で活用し、次代に継承していくため、今何をすべきかを共に考え、水を生かしたまち
づくりに取り組みながら、森林田園都市を目指しています。
サミットでは、協議会の会長である大石昭忠日田市長の開会挨拶に続いて、竹村公太郎(財)河川環境管理財団顧問の基調
講演「水と日本文明」が行われました。日田が天領として栄えた背景に水運があることを始め、歴史・文化的に見た水の大切さが述べられました。続いて、日田
市で少年時代を過ごされた作家のムツゴロウこと畑正憲氏による特別講演「故郷は心にありて想(おも)うもの」がありました。パネルディスカッション「筑後
川の現状と未来像」の後、日田市三和小学校の「緑の少年団」による「水の郷宣言」が発表され、終了しました。
特別講演(畑 正憲氏)
来年は福島県只見町での開催が予定されており、今後とも、水の郷サミットを通じて全国の市町村が連携し、地域固
有の水に関わる歴史や生活文化を活かしたまちづくりの促進が図られるよう期待するものです。
「水郷ひた」の中心部