【概況】
平成11年7月以降の1年間の地価は、住宅地・商業地ともに、全体としては下落しているが、大都市圏においては、前回調査と比べ、下落幅が縮小した地域が増加し、また、利便性・収益性の差による地 価の二極化が顕著になっている。
圏域ごとの状況を概観すると、
- 大都市圏においては、
(1) |
住宅地・商業地ともに下落幅にやや縮小がみられ、商業地は1割未満の下落となった。 |
(2) | 地域ごとの動向をみると、
1) | 住宅地は、半数以上の地域で下落幅が縮小し、東京都区部都心部、名古屋市等ではわずかな下落となった。 |
2) | 商業地は、半数以上の地域で下落幅が縮小した が、大阪市中心6区では大きな下落がみられた。東京都区部都心部の一部の高度商業地では、わずかな上昇又は横ばいの地点があり、これらの中には、ここ数年安定的に推移しているところもみられた。 |
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- 地方圏においては、
住宅地・商業地ともに前回調査とほぼ同じ下落幅であった。
【特徴】
今回の地価調査の特徴としては、
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(1) |
住宅地については、
・ |
大都市圏の都心部では、近年の地価の下落により需要側に値頃感が生じている中で、一連の住宅需要喚起策によりマンションを中心に居住用不動産への需要が顕在化し、多くの地点で下落幅の縮小がみられ、特に、利便性等に優れた地点では、わずかな上昇又は横ばいとなった。 |
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一方で、郊外部の通勤遠隔地では、相対的に割高感が生じ供給過剰にあることから、下落幅の拡大がみられた。 |
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(2) | 商業地については、
・ | 企業収益の改善や設備投資の持ち直しの動きなど、景気の緩やかな改善によるオフィスや店舗への需要の顕在化を反映して、大都市圏を中心に下落幅が縮小した。 |
・ | また、地域ごとにみると、消費や企業活動等の地域経済の動向を反映して、地価動向に相違がみられるようになっている。 |
・ | 東京都区部都心部の、成長企業等の集積が見られる地区や立地条件のよい地点では、オフィスや店舗への根強い需要を反映して、下落幅の顕著な縮小により横ばいとなった動きや、わずかな上昇又は横ばいで安定した動きがみられた。 |
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1.東京圏の概況
東京圏の地価は、
- 住宅地は、半数以上の地域で下落幅が縮小し、特に東京都及び埼玉県ではべての地域で下落幅が縮小した。
- 商業地は、千葉県その他地域では下落幅が拡大し、それ以外のほぼすべての地域では下落幅が縮小した。
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(1) 東京都
住宅地は、区部都心部ではわずかな下落、それ以外の地域では年間1割未満の下落となった。
商業地は、年間1割未満の下落となった。
(2) 神奈川県
住宅地は、年間1割未満の下落となった。
商業地は、川崎市では年間1割未満の下落、それ以外の地域では年間1割以上の下落となった。
(3) 埼玉県及び千葉県
住宅地は、千葉県その他地域では年間1割以上の下落、それ以外の地域では年間1割未満の下落となった。
商業地は、年間1割以上の下落となった。
2.大阪圏の概況
大阪圏の地価は、
- 住宅地は、半数以上の地域で下落幅が拡大したが、奈良県等では下落幅が縮小した。
- 商業地は、京都市等では下落幅が縮小し、それ以外の大半の地域では下落幅が拡大した。特に大阪市中心6区ではその拡大が顕著であった。
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(1) 大阪府
住宅地は、年間1割未満の下落となった。
商業地は、年間1割以上の下落となった。
(2) 兵庫県、京都府及び奈良県
住宅地は、年間1割未満の下落となった。
商業地は、神戸市及び京都市では年間1割以上の下落、それ以外の地域では年間1割未満の下落となった。
3.名古屋圏の概況
名古屋圏の地価は、
- 住宅地は、すべての地域で下落幅が縮小した。
- 商業地は、大半の地域で下落幅が縮小し、特に名古屋市ではその傾向が顕著であった。
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住宅地は、西三河地域では横ばい、それ以外の地域ではわずかな下落となった。
商業地は、三重県では年間1割以上の下落、それ以外の地域では年間1割未満の下落となった。
4.地方圏の概況
- ブロック中心都市(札幌市、仙台市、広島市及び福岡市)では、住宅地は、札幌市では下落幅が縮小し、仙台市及び福岡市では下落幅が拡大した。広島市では前回調査と同じ下落幅であった。
商業地は、札幌市、広島市及び福岡市では下落幅が縮小した。仙台市では前回調査と同じ下落幅であった。
- 三大圏の周辺都市では、
住宅地は、半数以上の都市で下落幅が拡大し、大津市等では年間1割未満の下落となったが、豊橋市等では下落幅が縮小した。
商業地は、半数以上の都市で下落幅が縮小し、三島市等では年間1割以上の下落、足利市等では年間1割未満の下落となった。
- その他の地方中心都市では、
住宅地は、半数以上の都市で下落幅が拡大し、熊本市等ではわずかな下落、福井市等では年間1割未満の下落、山口市等では横ばいとなった。
商業地は、半数以上の都市で下落幅が拡大し、松江市等では年間1割未満の下落、福島市等では年間1割以上の下落となった。
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