別紙1
不動産投資(オフィスビル)に関するアンケート調査結果

本調査では、我が国における不動産の収益性に関する情報の不足を補うため、不動産投資家(企業)に対してアンケート調査を独自に行い、その実態の把握に努めた。

1.調査の概要

(1) 調査時点  1999(平成11)年11月 ― 12月

(2) 調査対象  大手機関投資家(計170社)

(3) 調査方法  郵送による

(4) 回答率   32.4%

2.アンケート調査の設問及び調査結果 

問1 以下のような条件を満たすオフィスビルを投資用不動産として検討する場合、どの程度の利回りを期待されますか。また、年間賃貸収入に対して考えられる経費率も併せてご回答下さい。
 

 
【 投資対象オフィスビル(賃貸用)の基準モデル 】

地域

日本橋・八重洲地域(東京都中央区)に所在

主な用途

事務所(高層)

フロア面積

ワンフロアー500u以上(賃貸対象有効面積)

竣工年

築5年程度(新耐震基準に基づく耐震構造)

天井高

2.6m以上

空調

1フロア以下の単位で調整が可能なもの

床配線 
 

3WAY(電力・電話・データ用)、フリーアクセス採用のもの 
(OA対応)

入退室時間

24時間可能なもの

維持管理の状況

良好

駐車場設備

屋内機械式駐車場設備有り

テナント

テナント数が5社以上で、大部分が上場企業

賃料水準 
 

ビルの立地及び品等から適正な家賃水準(新規市場賃料並)を設定 
 

(設 問)                               

                            年間賃貸収入(注1)         
グロスの年間賃貸収入利回り(%)=                   とします。
 (粗利回り)                  土地価格+建物価格(注2)      
  (注1) ・・ 諸経費を控除する前の年間賃貸収入の合計で共益費を含みます。
  (注2) ・・ 敷金・税金・仲介手数料は含まないものとします。
(1) 上記オフィスビルに期待する利回り  (数字でお答えください)
グロスの年間賃貸収入利回り(粗利回り)  =              %
(2) 年間賃貸収入に対する経費率(注3) (数字でお答えください)
                経費率   =              %
(注3)経費は「維持管理費」「固定資産税・都市計画税」「損害保険料」「貸倒準備費」とします。
 

(集計結果)

 
前記、粗利回り標準幅に経費率標準幅を乗じることで標準的な総合還元利回りの幅を設定し、ほぼ中庸値である6.0%を本調査の基準とし、対象不動産の個別性(地域性・建物の品等・賃料水準等)を反映した対象不動産ごとの(暫定)総合還元利回りを求めた(別紙2参照)。
・[粗利が8%〜11%]×[1−経費率(30%〜40%)]
  [総合還元利回りの幅]  4.8%〜7.7%(中庸値6.0%)
 

問2 問1の日本橋・八重洲地域に所在のモデルビルを基準とした場合に、下記の(1)から(8)の項目は不動産投資のリスクとしてどの程度の影響を与えるとお考えですか。(それぞれの設問以外の項目は固定していると仮定します。)
 
基準となる問1のモデルに対して、以下のような場合に
リスクが低くなる場合は  :A(−2%〜±0のリスク減少と定義します)
    変わらない場合は :B(±0)
    やや高くなる場合は:C(±0〜+1%のリスク上昇と定義します)
    高くなる場合は  :D(+1%超〜+2%のリスク上昇と定義します)
として、それぞれの項目について、回答欄に該当するアルファベットに○をつけてください。
 (注)±2%超の場合には具体的な数値を回答欄にご記入下さい。
 [例] A(−4%)

(1) 地域の比較(表中の数字は有効回答の数である。以下同じ。)

日本橋・八重洲地域に対して
地  域 有効数
@ 麹町・永田町・霞ヶ関等   52  14   34    3     1 
A 六本木・赤坂等   16   2   11    1     2 
B 新宿・渋谷等   16   5       3     0 
C 上野・池袋・品川等   16   0    4   11     1 
D 横浜・川崎等   52   0    3   15    34 
E 大宮・千葉等   49   1    1    4    43 
F 名古屋(名古屋駅前地区等)   50   1    3   18    28 
G 大阪(梅田地区等)   51   2    6    22    21 

(2) 規模の比較

(ワンフロアー)500u〜に対して
規  模 有効数
@ 300〜500u   50    1    19    26     4 
A 300u未満   50    1     5    14    30 

(3) 設備等の比較
設 備 等 有効数
@ 個別空調ではない   51   0   0   25   26
A 非OA対応   51   0   1   20   30
B 耐震構造ではない   50   0   2   15   33
C 駐車場設備がない   51   0   4   18   29

(4) 主用途の比較

事務所に対して
 主 用 途 有効数
    店 舗   50   4   7   19   20

(5) 築年の比較

築5年程度に対して   
築  後 有効数
@ 5〜10年未満   51   3   36   11    1
A 10〜20年未満   50   0    7   32   11
B 20〜30年未満   49   0    1   12   36
C 30年以上   49   0    0    3   46

(6) 維持管理の比較

維持管理が良好に対して
維持管理の良否 有効数
  維持管理が劣る   50   0   1   18   31

(7) テナントの比較

テナント数が複数で大部分が上場企業に対して
テナント 有効数
@ 多くが非上場企業   52   0   10   32    10
A テナント数が1社   51   3    5   23   20

(8) (現行)平均賃料水準の比較

平均賃料水準が新規賃料程度に対して
   賃 料 水 準 有効数
@ 平均賃料が新規賃料  を下回る   52 
 
   2 
 
  12 
 
  21
 
  17 
 
A 平均賃料が新規賃料  を上回る   52 
 
  12 
 
  27
 
   9 
 
   4 
 

 

問3 下記の地域はそれぞれ今後5年間でどの程度の賃料の上昇が見込まれるとお考えですか。該当すると思われるアルファベットに○をつけて下さい。なお上位品等の物件(立地条件、設備水準が優れるビル)としてお答えください。
 
a:横這い b:0〜3%上昇 c:3%〜5%上昇 d:5%以上上昇

(集計結果)
地  域 有効数
@ 日本橋・八重洲等   42   20   16   4   2
A 麹町・永田町・霞ヶ関等   44   26   12   4   2
B 六本木・赤坂等   41   21   10   9   1
C 新宿・渋谷等   43   19   19   4   1
D 上野・池袋・品川等   35   24    9   1   1
E 横浜・川崎等   28   22    6   0   0
F 大宮・千葉等   21   19    2   0   0
G 名古屋(名古屋駅前地区等)   27   20    5   2   0
H 大阪(梅田地区等)   31   20    7   4   0

 
                               

問4 不動産投資にあたって、今後、特に整備が必要と思われるデータは以下のどれでしょうか。必要と思われるものに〇をつけてください。(3つまで)。

(集計結果)                                  
地価データ  12  継続賃料データ   21
新規賃料(成約)データ  33   投資利回りデータ   28
不動産投資インデックス  18  テナントに関する情報   18
ビルに対する格付け  18  管理会社に対する格付け    4

(その他)
・ 実際の投資用不動産の売買実例データ
・ 管理コストデータ