T はじめに
T―1 本書の趣旨について
我が国では、現在、大都市において、住宅地需要の都心回帰の傾向が強まってきている一方、産業構造の転換に伴う工場跡地等の発生、災害に脆い密集市街地の存在等の問題があり、既成市街地の再編や産業の再生と併せた低・未利用地の有効活用が急務となっています。また、地方においては、低・未利用地を活用しての中心市街地の活性化や魅力ある地方都市にふさわしい拠点づくりをはじめとする土地利用の実現への取り組みが課題とされており、低・未利用地の有効活用は、土地政策の大きな課題とされています。
このような状況を踏まえ、平成11年度に国土庁は、『低・未利用地有効活用促進臨時緊急調査』を実施し、低・未利用地を抱えた全国の民間企業、地方公共団体等から調査対象地区を広く募り、これらの調査対象地区について土地の有効利用に向けた整備構想案を策定しました。本調査では、調査対象地区ごとに問題を掘り下げ、有効活用のケーススタディとして取りまとめました。
本書は、上記の調査の成果を踏まえて、低・未利用地の有効活用に向けてのきっかけづくりやまちづくりを進める際に役立つマニュアルとして作成されております。本書が、土地の有効利用に向けて頭を悩ましておられる方々の処方箋となればと考えております。
なお、本書では、調査対象地区だけでは網羅しきれなかった内容についても、事例や事業手法等を紹介しながら、各問題に対する有効活用に向けての方向性にも配慮しています。