2.土地の整形化・集約化 |
不整形に散在する小規模な低・未利用地は、個々ばらばらに開発すると非効率であるばかりか、密集市街地等では乱開発により、さらに環境が悪化することも考えられます。
このような低・未利用地の活用にあたっては、まちづくりと連動した土地の整形化・集約化が重要と考えられます。
方策1 敷地整序による有効活用 |
不整形に散在する小規模な低・未利用地を集約化することにより、より有効な土地活用が図れます。また、集約化と合わせて細街路等の基盤整備が進められます。
このような土地の整形化・集約化のために、敷地整序に係わる整備手法として最も代表的なものは土地区画整理事業があげられます。通常の土地区画整理事業は比較的広い範囲で、市街化農地や大規模な低・未利用地が残された市街地や、駅前等で駅前広場の整備と併せて整備する必要がある市街地等で実施されますが、比較的密集した既成市街地では、低・未利用地等の集約化を図るための敷地整序型土地区画整理事業が適用可能です。これらの他にも地区の状況に応じたいろいろな区画整理の手法が用意されています。
○敷地整序型土地区画整理事業
敷地整序型土地区画整理事業は、一定の基盤整備がなされている大都市等の既成市街地内の地域で、小規模かつ不整形で散在する空地、駐車場等の低・未利用地の集約化を図り、有効利用を進めるために行う土地区画整理事業です。
都市再生区画整理事業(街区高度利用型)等の補助制度を活用できるほか、土地区画変更に伴う土地の交換分合を土地区画整理事業として実施することにより、土地の譲渡益課税の非課税等の特例が適用され、自由な交換分合が可能となります。また従来型の土地区画整理事業において採られてきた技術的基準の運用に従わなくても、一定の公共施設の整備が実施されれば認められる制度となっています。
方策2 共同化による有効活用 |
不整形・小規模な低・未利用地や道路付けの悪い低・未利用地は共同化を図ることによって、効率的な活用が可能になります。また集約化を図った上で共同化を図ることも有効な方法です。
このような共同化による有効活用は、大きな整備効果が期待できますが、複数の地権者間の権利調整等を行う必要があり、関係権利者の話し合いが最も重要となりますが、市町村やコンサルタントの継続的な支援も必要となります。このために、市町村によってはコンサルタント派遣等の制度が用意されている場合もあります。
共同化建替え・開発にあたっては、市街地再開発事業や優良建築物等整備事業等の適用が有効です。これらの事業では一定の要件に適合すれば、調査・設計費や建物の共同施設部分の建設費等に補助金が支給されます。また市街地再開発事業では、高度利用地区の指定により容積の上乗せが可能となります。
国の所管 | 建設省都市局都市防災再開発課、住宅局市街地建築課 |
目 的 | 市街地の土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新 |
事業主体 | 個人、地権者などが設立する組合、地方公共団体、都市基盤整備公団等 |
要件等 | 高度利用地区内、耐火建築物が1/3以下、土地利用が不健全等 |
国の補助 | 調査設計計画費、土地整備費、共同施設整備費 |
事業の特色 | 権利変換方式…従前の土地所有権などの諸権利に対して、新たに建設される建物とその敷地に関する権利を得ること |
事業のイメージ |
国の所管 | 建設省住宅局市街地建築課、市街地住宅整備室、建築物防災対策室 |
目 的 | 土地の合理的利用の誘導を図りつつ、優良な建築物等の整備の促進 |
事業主体 | 地方公共団体、都市基盤整備公団、民間事業者等 |
対象地域 | 三大都市圏の既成市街地等、地方拠点都市地域、市街地総合再生計画区域、人口5万人以上の市の区域、中心市街地等 |
要件等 | 地区面積1,000u以上(市街地総合再生計画に係るもの等の場合は500u以上) |
国の補助 | 調査設計計画費、建築物除却等費、共同施設整備費、耐震整備費 |
事業の特色 | 一見、市街地再開発事業と似ているが、法的手続きによらないほか、税制などの取扱いが違います。手続きが簡易なほか、比較的小規模でも活用できるなどのメリットがあります。 |
事例紹介:「優良建築物等整備事業を利用した共同建替え」(上尾市愛宕地区) |
(出典:まちの再生ハンドブック)
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方策3 居住環境の改善 |
大都市周辺では、細街路や行き止まり道路に木賃住宅等の老朽住宅が密集する市街地が広く分布しています。これらの密集市街地では個々の建替え誘導や低・未利用地の活用によって、修復的なまちづくりが必要となります。
低未利用地の活用方策としては以下のものがあげられるでしょう。
@ポケットパーク等のオープンスペースとして整備する。
A建替え等とあわせて行止り道路や細街路等を見直し、道路状況の改善を図る。
B周辺の老朽住宅等と共同化建替を実施する。
このような密集市街地のまちづくりを総合的に進める手法として、密集住宅市街地整備促進事業があります。この事業では「計画づくりのための助成」「まちづくり活動支援のための助成」「老朽住宅等の建替えのための助成」等の様々な側面からのまちづくりのための助成が行われます。
密集事業は全国で実施されていますので、地元の市町村でお尋ね下さい。
事例紹介:密集市街地における共同建替え(大阪府門真市北部地区) |
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