3.事業支援策の活用

 中心市街地の活性化を進めるにあたり、道路、公園等の基盤を整備し、都市機能の更新を図るに当たっては、街なか再生土地区画整理事業、街区高度利用土地区画整理事業等の適用が考えられます。
 しかしながら、これらの再開発事業を活用したいと思っても、特に地方都市においては、再開発事業自体の普遍化が認めにくく、事業が立ち上がり難いという状況が見られます。これを支える手立てとして、市街地再開発事業等の再開発事業補助と併用して、各種の公的補助、融資制度、資金調達などを活用した活性化事業の特性に応じた方策があります。

方策1 都市機能更新のための事業手法の活用

街なか再生土地区画整理事業
国の所管 建設省都市局区画整理課
事業主体 個人、地権者などが設立する組合、地方公共団体、都市基盤整備公団等
立地条件 三大都市圏の既成市街地を除く全国の中心市街地
国の補助 公共施設の整備、公益施設・街なか居住建築物等を含む移転補償費、広場・交通ターミナルの整備費、駐車場の整備費等
事業の特色 都市機能の再生に資する各種の施設整備や街区再編のための移転補償に対して支援を行うとともに、換地手法を通じて、低・未利用地の集約化、公益施設などの立地などを促進することで、都市の顔としての中心市街地の活性化を図ります
事業のイメージ

 

○街区高度利用土地区画整理事業
 街区高度利用土地区画整理事業は、都心部等で区画整理を活用して、敷地の整形化・集約化、公共施設の再編整備、共同化意向のある者の土地と無い者の土地との集約化を行い、高度利用を可能とする街区整備と基盤施設整備を行い、中心市街地にふさわしい土地利用を実現しようとするものです。
 この基盤整備と併せて、高度利用を実施すべき街区で、優良建築物整備事業や都心共同住宅供給事業等による上物整備を実施することにより、柔軟なまちづくりが可能となります。

方策2 活性化に向けての支援策の活用

●都市施設の整備に伴う各種の補助・融資制度の併用
 例えば、交流拠点を目的とした中心拠点施設を整備する場合、中心市街地全体への波及効果を図る計画として、その事業の成立性に特に力点が置かれます。施設建築物整備に係わる建設省補助事業以外に通産省等の補助・融資策の活用が考えられます。以下のような施設整備に係わる補助・融資制度の併用活用が考えられます。

○単一型拠点施設整備
 市街地再開発事業と併せて、保留床を取得するために商店街整備等支援事業による出融資、小売商業店舗等共同化事業による融資を受け、再開発事業の事業性を高めます。

○複数・小規模連鎖型施設整備
 優良建築物等整備事業と併せて、商店街パティオ事業による補助と融資を受けた商業施設整備、さらには自前型の開発会社(権利者法人やタウン・マネージメント組織等)を設立し新たな都市機能施設(地場産業、街なか居住、コミュニティ施設等)の整備を行うことが考えられます。

○既存の公益公共施設を核とした施設整備
 先行して整備された公共公益施設を核として、多様な主体による駐車場整備や、商店街整備などの事業を組み合わせ、さらには、再開発による拠点施設の整備を進めるなど、街並みの一新と機能の更新を一体的に進めることもできます。

○街路事業などの関連公共施設整備事業と行政の資金支援
 街路事業などと併せた街路事業などに伴い、沿道地区が線から面へ拡がることにより、一層の活性化が推進できます。

 また、資金調達においては、定期借地権の設定や信託方式の導入も併せて、投資軽減の検討をすることも必要性に応じて考えることも必要でしょう。