1.地域の将来像の明確化

 新・都市環境創造において、低・未利用地を核とした「都市発展に係わる主要な位置での都市の将来像」「基盤整備済である大規模な土地利用」「住工混在の土地利用」などの特定のコンセプトを掲げ新しいまちづくりにより土地利用転換を行う実現化方策が求められています。
 特に、上位計画や既往計画があっても、条件整理がされていなかったり、まちの将来像が見えないために総合的、かつ戦略的なアプローチからまちづくりを考えることが必要になります。

方策1 街の将来像を明確化するための地元組織づくり

 発想の転換やアイデアを取り入れ、まちづくりの知恵を集結させる場としてまちづくり協議会(前項参照)やNPO(前項参照)などのまちづくり組織を立ち上げることがひとつの開発のきっかけとなります。
その地元組織のもとで、整備計画などの地区の将来像を描くことが重要になります。

○住民や行政が協働して将来像に向けて取り組んでいけるような理念を述べ、地区の将来に向けての整備の方向性を構成します。

○都市計画道路や公益施設(福祉・文化・スポーツ施設等)の整備など、他の事業により整備する事項も将来像に含まれます。
 
○地区の将来像は、事業展開にとらわれず、長期的な目標として掲げるものです。
 
○街並みづくり、環境共生したまちづくりなど、多種多様なテーマに沿った個性や独自性があるのまちづくりの目標を掲げることが望ましいでしょう。

方策2 戦略的なまちづくり

 まちづくりを進める上で、戦略的なアプローチから将来像を見据えるためのポイントは、以下のようなものをあげてみます。

○次世代に"まち"を引き継ぐ視点
 まちづくりはとても息の長い継続的・戦略的活動です。次世代を担う子どもたちの役割は大きいと考えられます。その子どもたちの将来に何を引き継ぐのか、という観点からまちづくりを考えることが大切になります。

○広い目からまちづくりを考える
 最近、地球環境的な発想からものごとを考える傾向があり、大きな投資を避け、負荷の小さい地球にやさしいまちづくりが求められています。

○先進事例やノウハウを活用する
 国内だけでなく、国際的に欧州諸国のまちづくり事例を参考にしたり、民間企業のノウハウを活用することも有効な手段でしょう。

ケーススタディ「戦略的な拠点整備」(F市)

□ケースA「歩行者動線の南北一体化」案

□駅前地区を歩行者を最優先に整備するパターン

・北口駅広の整備
・駅の橋上化・自由通路の整備

□ケースB「駅への交通アクセス改善」案

□駅周辺地区への自動車アクセスの向上を図るが、通過交通は排除するパターン

・区画整理による基盤整備
・北口駅広の整備
・駅の橋上化・自由通路の整備

□ケースC「抜本的な都市構造改革」案

□南北の自動車交通の円滑化に重点を置いたパターン

・区画整理による基盤整備
・連続立体交差事業
・北口駅広の整備
・駅の橋上化・自由通路の整備