調査地区のタイプ名:大規模工場跡地等利用転換型―2(調査地区の名称:横須賀市)

1.地区の現況

  • 人口推移:市全体及び追浜地区ともに減少傾向を呈している。
  • 土地利用現況:重化学工業・倉庫運輸施設が大部分、一部事務所。
  • 基盤整備状況:地域内及び周辺部に都計道は設定されていない。
  • 法規制状況:用途地域は工業専用地域に指定されている。

■土地利用転換計画図(A案:流通+工業)

2.上位・関連計画における地区の位置づけ

  • 夏島・浦郷地区は今後とも工業・研究業務地とする。(以上、横須賀市都市計画マスタープランより)

3.対象地区の課題

  • 臨海部の奥まった所である。
  • 対岸には米軍施設が立地している。
  • 国道357号が延伸されれば、ポテンシャルの向上は期待される。

4.対象地区の既存調査手法における問題点と課題

  • 対象面積が約10haもあり大規模である。
  • 工業専用地域であることから、現状の都市計画法では活用方策が限られてしまう。

■土地利用転換計画図(B案:物販+スポーツ・レクリエーション)

5.提案者とのこれまでの協議内容と提案者の意向

  • 社内検討においても、工業専用地域の規制が足枷となるものが多いが、国道357号の延伸等と併せて、用途変更が可能となれば、柔軟な計画案が立案される。
  • 労働集約型の施設を誘導し、地域の雇用促進に寄与する計画としたい。

6.低・未利用地有効活用の方針

(1)土地利用転換計画の目標と導入機能のメニュー

  • 大規模な面積を活かした提案(東京ドームの約4倍)
  • 臨海型の立地条件の活用
  • 新たな就労の場の創出

(2)有効活用の方針

  • 既存施設の有効活用
  • 用途地域の見直し、再開発地区計画等(規制緩和)の検討
  • 「定期借地権制度」等、資金調達支援策の導入検討

■土地利用転換計画図(C案:高齢者福祉)

7.土地利用転換計画

(A案):流通+工業

  • 内部設備等の移転・廃棄のコストが大きい施設は、現設備の再活用を前提に自動車関連補給部品工場等として再利用する。
  • 設備等の移転・廃棄のコストが小さく、上物も良好な施設は、上物のみを再利用し、倉庫、工場として再利用する。
  • 設備等の移転・廃棄のコストが小さく、上物が耐用年数を向かえている施設は、更地とし工業用地、流通用地として賃貸する。

(B案):物販+スポーツ・レクリエーション

  • 現施設のうち上物が再利用できるものは、物販施設、屋内スポーツ施設としてリニューアルする。
  • 上物が再利用できない施設は撤去し、更地として屋外スポーツ施設用地、展示場、駐車場等とする。

(C案):高齢者福祉

  • 地域福祉の推進や高齢者が安心できるまちづくりを目指して、要介護高齢者のための福祉施設、医療施設、シルバーハウジング、介護用品の研究、政策施設を一体的に整備する。

8.事業化計画
 

(1)事業手法、
概算事業費

(2)資金調達手法、
支援方法

(3)事業採算性

(4)事業化に向けた課題

神奈川県
横須賀市

A案【流通+工業】
 民間開発(規制緩和の必要なし)、約39億円

B案【物販+スポーツ・レクリエーション】
 民間開発(再開発地区計画等)、約50億円

C案【高齢者福祉】
 民間と公共による共同開発(用途の見直し等)、約300億円

A案:定期借地権制度の活用

B案:定期借地権制度の活用

C案:社会福祉施設等施設整備費(国庫補助)、不動産の証券化等

@具体的な企業を対象とした市場調査の実施
・用途変更先導型再開発地区計画の創設により、工業専用地域等で土地の有効利用が都市機能の更新に貢献すると認められる場合、将来の土地利用の転換方向が明らかでなくとも用途制限が緩和される。
・このような状況を踏まえると、A案に限らず、B案、C案の実現可能性も、現在の用途制限ではなく、民間資本が進出する見込み如何といえ、今後は進出意向のある企業探し、テナント調査が重要となる。

A暫定利用に対する制限緩和
・工業専用地域の場合、店舗、ゴルフ練習場等に暫定利用する可能性があっても用途制限が障害となる場合があり、暫定利用(期間、施設内容・構造等を限定)に対する制限の緩和を認めるなどの方策も必要と考える。