調査地区のタイプ名:大規模工場跡地利用転換型―3(調査地区の名称:下関市)

1.地区の現況

  • 人口推移等:市全体の人口は減少傾向を呈している。
  • 土地利用現況:住宅展示場と駐車場がメインで、倉庫が1棟
  • 基盤整備状況:敷地前面道路はW=25m、周辺には都計道はない
  • 法規制状況:用途地域は商業地域、臨港地区(商港区)の指定あり

■土地利用転換計画図(A案:商業・観光+スポーツ・レクリエーション)

2.上位・関連計画における地区の位置づけ

  • 下関駅舎の改築構想を検討し、本市の顔にふさわしい駅前を形成する。
  • 総合設計制度や地区計画等を活用して、公共空地の創出を図る。(以上、下関市都市計画マスタープランより)

3.対象地区の課題

  • 臨港地区の商港区を前提に商業地域ではあるが、繁華性は乏しい。
  • 駅から直線距離では約400mであるが、歩行距離は約800mとなる。
  • 地区に隣接する線路があり、2〜3/月程度で使われている。

4.対象地区の既存調査手法における問題点と課題

  • 市のシルバーハウジングプロジェクト事業計画の調査対象地区として検討されたが、土地価格が高いことから実現化されなかった。
  • 臨港地区については、市が現在、見直し検討を進めているところであるが、手続き等に時間を要する。

■土地利用転換計画図(B案:福祉+住宅)

5.提案者とのこれまでの協議内容と提案者の意向

  • 駅の裏手に位置し繁華性は乏しいが、交通立地条件・生活利便性は高く、港湾施設にも近接していないことから、住居系施設(主に高齢者を対象)を含めた一体的な土地利用の転換を図りたい。

6.低・未利用地有効活用の方針

(1)土地利用転換計画の目標と導入機能のメニュー

  • 関連計画と競合しない機能の導入
  • 提案者のノウハウの活用
  • 中心市街地活性化への波及効果

(2)有効活用の方針

  • 臨港地区の解除、または分区指定解除の検討
  • 仮設建築物によるコスト削減と柔軟な需要への対応

■土地利用転換計画図(C案:リサイクル)

7.土地利用転換計画

(A案):商業・観光+スポーツ・レクリエーション

  • 下関の旨いものや釜山で水揚げされた水産物等が安く食べられる観光市場と、都市型スポーツ・レクリエーション施設として屋内型スノーボードゲレンデを整備する。
  • プレハブ構造を採用した「有期限建築」とし、将来の周辺土地利用の変化や法規制の変更等に柔軟に対応できる計画とする。

(B案):福祉+住宅

  • 高齢者がいきいきと安心して暮らせるまちづくりを目指して、公共交通の利便性が高い駅前地区に、デイケア、ショートステイサービス施設、高齢者コミュニティ住宅、託児施設等の生活支援施設を整備する。

(C案):リサイクル

  • 資材の搬入や製品の運搬に海上運送が利用できる立地条件を活かし、廃棄物を再資源化、製品化するプラントを整備する。

8.事業化計画
 

(1)事業手法、
概算事業費

(2)資金調達手法、
支援方法

(3)事業採算性

(4)事業化に向けた課題

山口県
下関市

A案【商業・観光+スポーツ・レクリエーション】
 民間開発(規制緩和の必要なし)、約13億円

B案【福祉+住宅】
 民間又は公共との共同開発(臨港地区の解除が前提)、約66億円

C案【リサイクル】
 公共又は民間開発(規制緩和の必要なし)、約62億円

A案:定期借地権制度の活用

B案:社会福祉施設等施設整備費 (国庫補助)等の活用

C案:PFI制度の活用

@規制緩和に向けた方向付け
・土地所有者は住宅をはじめ福祉関連施設やスポーツレクリエーション施設など幅広いノウハウを持つ企業であり、土地所有者自らが土地活用に意欲を示していることは、地方都市では稀な好条件である。
・道路整備など基盤整備はほぼ完了しており、新たな基盤づくりのための財政負担なしに民間活力を誘導することでまちづくりが実現できる。
・土地所有者が土地を売却して新しい地権者が勝手な土地利用を進めるなどを避けるため、中心市街地活性化計画に位置付けるなど規制緩和に向けた方向付けを検討していきたい。

A暫定利用の検討
・土地所有者の希望や土地の価値を最大限に高めるという意味では、B案が望ましいが、規制緩和に時間がかかる場合は、暫定利用としてA案とすることも考えられる。