調査地区のタイプ名:大規模工場跡地等利用転換型―4(調査地区の名称:八戸市)

1.地区の現況

  • 人口推移:市の人口は約24万人で安定。
  • 土地利用現況:現在も一部は漁船のドック用地として利用されている。
  • 基盤整備状況:西側は整備済みの都市計画道路(幅員20m)に面する。
  • 法規制状況:用途地域は工業専用地域、臨港地区。

■土地利用転換計画図(A案:商業+アミューズメント)

2.上位・関連計画における地区の位置づけ

  • ポートルネッサンス構想では、当地区及び周辺を港湾と背後地域の再開発による憩いと賑わいの空間を促進するゾーンに位置付けている。
  • 港湾計画では、周辺都市機能の進展に伴い臨海部再編の可能性があるため、当面は小型造船業として利用しながら、今後の利用動向如何により、必要に応じ計画の見直しを図る地区としている。

3.対象地区の課題

  • 漁連(約87%の土地を所有)は、将来ドック用地を移転させる計画であり、土地の売却も視野に入れている。
  • 当面一部をドック用地として暫定利用し、その後全面移転する、段階的な整備計画案が求められている。
  • 中心市街地活性化基本計画との整合を図る必要がある。

4.対象地区の既存調査手法における問題点と課題

  • ポートルネッサンス構想では、当時移転が明確になっていなかったことから、漁船ドックのままの構想図となっているなど、これまで対象地区について調査が行われたことはない。

■土地利用転換計画図(B案:文化+公園)

5.提案者とのこれまでの協議内容と提案者の意向

(漁連)

  • 当面、地区の北側をドックとして残し、南側を暫定的に土地利用転換したい。将来的には土地の売却も視野に入れている。

(八戸市)

  • 隣接地区でも再開発地区計画を活用し工場跡地の土地利用転換を図っており(ピア・ドゥ)、具体的な計画があれば臨港地区の見直しも含め検討したい。

6.低・未利用地有効活用の方針

(1)土地利用転換計画の目標と導入機能のメニュー

  • 県の港湾計画との整合を図る
  • 現規制を前提とした計画案、及び規制緩和による計画案の作成

(2)有効活用の方針

  • 隣接地区との連携強化
  • 中心市街地に近い貴重な臨海型オープンスペースとしての活用
  • 関連計画との整合や事業性の重視

■土地利用転換計画図(C案:暫定利用+公園)

7.土地利用転換計画

(A案):商業+アミューズメント

  • 周辺施設と競合しないモール型商業施設を核に、アミューズメント施設、公園を加えた複合型施設を計画する。
  • モールは天候や季節に左右されない屋内型とし、物販、飲食、シネマコンプレックス、体験型アミューズメント施設等を導入する。
  • ドックとしての面影を残すものとして、船のモニュメントや運河をめぐらせ、ボートを使って回遊できるようにする。

(B案):文化+公園

  • 地域住民や広域的な利用を想定した文化施設及び公園を整備する。
  • 公園には、バーベキュー等が楽しめる芝生公園や器材の貸し出しや飲食が楽しめるレストハウスを配置する。
  • また、水族館、植物園、ビオ・ト−プ、生涯学習センター等を配置する。

(C案):暫定利用+公園

  • 当地区に求められる機能と事業性の両立を重視し、海に面する北側を公園とし、南側は不透明な市場に柔軟に対応できるよう更地または仮設施設等により暫定利用する。
  • 南側のゾーンは、現規制を前提とした場合、中古車展示施設、菓子工場用地・倉庫用地、住宅展示場等として暫定利用する。

8.事業化計画
 

(1)事業手法、
概算事業費

(2)資金調達手法、
支援方法

(3)事業採算性

(4)事業化に向けた課題

青森県
八戸市

A案【商業+アミューズメント】
 再開発地区計画による民間開発(規制緩和前提)、約61億円

B案【文化+公園】
 公共等による開発(規制緩和前提)、約114億円

C案【暫定利用+公園】
 民間開発、または一部公共による開発、約13億円

A案:定期借地権制度の活用

B案:社会福祉施設等施設整備費(国庫補助)等の活用

C案:定期借地権制度の活用

@行政と土地所有者による協議の継続
・大規模敷地であることから、地域に与える影響は大きく、土地利用転換が円滑に進められるよう、行政と土地所有者等による協議を今後も継続し、土地所有者へのアドバイスや資金調達支援等を検討していく。

A上位計画等における地区の位置付け
・今後は、地元や関係団体等と意見交換を行いながら、コンセンサスづくりを図り、都市計画マスタープランの地域別構想等に当該地区の整備の方向性を位置付けていくことを検討していく。

B段階的開発
・事業が長期化する場合は、段階的な整備が望まれることから、当面残る北側のドック用地を利用し、土地利用転換を進めることも検討する。

C暫定利用の検討
・当該地区は、法的制約から土地利用の用途が制限されるため、将来計画や規制緩和等の見通しがつくまで、暫定的な利用方法も検討する。