調査地区のタイプ名:大規模工場跡地等利用転換型―5(調査地区の名称:北九州市)

1.地区の現況

  • 人口推移:市全体では微減、また対象地区周辺は業務地、工業地等であり夜間人口はもともと少ない。
  • 土地利用現況:時間貸し駐車場(約600台)
  • 基盤整備状況:西側は都市計画道路(整備済み、幅員25m)に面しており、北側は臨港道路が整備中。
  • 法規制状況:用途地域は商業地域、臨港地区(商港区)。

■土地利用転換計画図(A案:商業)

2.上位・関連計画における地区の位置づけ

  • 北口地区整備構想において、国際交流拠点の形成を目指したコンベンションゾーンに位置づけられている。

3.対象地区の課題

  • 臨港地区が指定されており土地利用上の制約がある。
  • 北口地区整備構想のうち、整備が完了しているのは国際会議場等の公共・公益が中心で工場等の土地利用転換はそれほど進んでいない。

4.対象地区の既存調査手法における問題点と課題

  • 地元では協議会等も組織されているが、代替地の問題やバブル崩壊以降の土地需要の冷え込みもあり、今日の社会経済情勢を踏まえた構想の見直しを求める声も聞かれる。

■土地利用転換計画図(B案:オフィス+研究所等)

5.提案者とのこれまでの協議内容と提案者の意向

(住友金属工業)

  • 駐車場以外の利用方法がなかなか見つからない。現行規制のなかでの暫定利用の可能性と規制緩和を前提とした可能性の二つの視点で、この土地有効利用方法を幅広く検討してほしい。
  • 将来的には土地の売却も視野に入れている。

(市)

  • 北口地区全体計画のなかでの位置づけを整理したうえで、規制緩和等についても柔軟に対応したい。

6.低・未利用地有効活用の方針

(1)土地利用転換計画の目標と導入機能のメニュー

  • 北口地区整備の契機となる活用
  • 周辺の土地利用との連携を図った活用

(2)有効活用の方針

  • 市の港湾計画との整合を図る
  • 規制緩和を前提とした計画案の作成(但し、施設内容によっては現規制のままでも実現可能)

■土地利用転換計画図(C案:文化)

7.土地利用転換計画

(A案):商業

  • 北口地区に不足する「まちの賑わい」を高め、周辺土地利用の転換の契機となり、周辺商業施設と競合しないアウトレットモールを中心とする商業施設を計画する。
  • プレハブ構造を採用した有期限建築とし、将来の周辺土地利用の変化や法規制の変更等に柔軟に対応できる計画とする。

(B案):オフィス+研究所等

  • 北口地区の既存オフィス需要や周辺土地利用の転換を促進するため、データセンターを配置し、オフィス、研究所、スタジオ等からなる複合的な情報発信基地として整備する。
  • 既存の周辺オフィス等とのネットワーク化を始め、AIM等の既存施設と協調・連携し、北口地区の情報発信基地としての機能強化を目指す。

(C案):文化

  • 本市の工業地帯としての歴史や技術開発の変遷を紹介する産業ミュージアムを中心に整備する。
  • 展示内容は、本市の基幹産業であった「鉄」と新たな素材としての「アルミ」の2つの素材をテーマに、その歴史や社会との関わり、製造法、利用法、最新技術等について紹介する。

8.事業化計画
 

(1)事業手法、
概算事業費

(2)資金調達手法、
支援方法

(3)事業採算性

(4)事業化に向けた課題

福岡県
北九州市

A案【商業】
 民間開発(現行規制での可能性もある)、約29億円

B案【オフィス】
 民間開発(現行規制での可能性もある)、約118億円

C案【健康スポーツ】
 公共又は民間開発(現行規制での可能性もある)、約29億円

A案:定期借地権制度の活用

B案:不動産の証券化、民活法の導入、民都融資の活用等

C案:PFI精度、民活法の導入、民都融資の活用等

①整備時期を踏まえた有効活用方策の検討
・既存周辺工場が操業している段階と、基盤施設等の整備に伴い周辺の土地利用転換が進んだ段階においては、環境面や生活支援施設の充実等の相違により、相応しい活用方策は異なると考えられる。
・従って、対象地区の活用方策を具現化する際には、改めてその段階での周辺状況を踏まえた検討を行うことが必要と考える。

②類似施設とのすみ分け
・B案で提案している内容については、AIM、室町一丁目再開発、八幡地区におけるメディアセンターにおいても類似する施設が導入、計画されており、競合することも考えられる。
・しかしながら、北口地区のまちづくりを先導的に誘導していくためには、既存施設等と如何に協調・連携し、更なる機能強化を目指していくかが重要であり、個別開発のみに捕らわれない総合的な視野を持った取り組みを進めていく必要がある。