調査地区のタイプ名:中心市街地活性化型―2(調査地区の名称:大津市)

1.地区の現況

  • 地区には商業地域(80%/500%・600%)が指定されているが、地区内では9階建てが1棟、5・6階建てが4棟あるものの、大部分が2階建てまでの低利用となっている。
  • 地区は一辺約80mの街区で構成されその内側には旗竿状の土地がある。
  • 取り囲む道路の幅員は約3〜6mであり、高度利用が行いにくい。

■土地利用転換計画図(A案)

2.上位・関連計画における地区の位置づけ

〔大津市中心市街地活性化基本計画(平成11年、大津市)〕

  • 本地区を、集客機能の向上と定住人口の増加を実現するための、「中心市街地の新核となる再開発を推進する」地区と位置づける。

3.対象地区の課題

  • 土地利用転換を促進する道路条件の改善
  • 拠点間及び中心市街地内各部を結ぶ歩行者の回遊空間整備
  • 地区の資源を活用した来街者対応機能の充実
  • JR大津駅や浜大津駅との近さを活かした住宅の供給
  • 地域居住者対応生活コンビニ機能(商業機能、公益機能等)の強化地区附近に多い高齢者への生活関連サービスの強化

4.対象地区の既存調査手法における問題点と課題

  • 既存調査はない。

■土地利用転換計画図(B案)

5.提案者とのこれまでの協議内容と提案者の意向

  • 「都心居住の推進」→「人の流れの増加」→「街の魅力の向上」という筋書きを描きたい。
  • 苦労した高齢者などが報われるサービスを組み込んだ土地利用転換計画としたい。
  • 現在不足している大津市への観光客が休憩できる場所とできないか。体験型の社会教育機能やレクリェーション機能を導入し、ここでしかできない楽しい機能を持つまちにする。

6.低・未利用地有効活用の方針

〔土地利用転換計画の目標〕

  • 回遊性の高い中心市街地の形成
  • 都心居住の回復

〔導入機能〕

  • (来街者の利便)観光バスが止まれる駐車場(まちなか道の駅)、ホスピタリティ提供機能(飲食、休息、情報等)
  • (商業等)生活支援機能
  • (ファミリー、高齢者向け)都心居住機能
  • (高齢者等の豊かな生活を育む)生活提案機能
  • (来街者と住民による)交流・発信機能、体験型生涯学習機能

〔有効活用の方針〕

  • 低・未利用地をそのまま活用する暫定利用や即効性など、権利者の合意形成にも資する事業を含める。
  • 隣近所で簡単に始められる共同化事業の導入を図る。
  • 人口の定着を進める整備を含める。
  • 地区内外にまちづくり意識を作り出す強力なプロジェクト導入を図る。
  • ヒュ−マンスケールで快適な回遊性の高い歩行者空間を確保する。
  • 体験型の遊び要素のある機能導入を図る。

■土地利用転換計画図(C案)

7.土地利用転換計画

(A案)空き店舗対策
 案空き店舗、空き家を活用し、チャレンジショップ、作業場(料理や工作等の創作作業体験型生涯学習センター)、その他共同施設、賃貸住宅として利用することで、地区内の低・未利用地の解消を図る。また、在来の町屋の店舗デザインでファサードの統一を図る。即効的、暫定的な案であり、活性化のための導入機能の検討を行いながら進めることもでき、また、段階的な整備の第一ステップとすることもできる。

(B案)共同化案
 空き店舗、空き家を種地に共同化店舗や共同住宅等の整備を進め、パティオなどで広場、路地を整備する。広場や路地は商店街からふくらみを持たせた空間として整備し、在来の町屋のデザインで統一した店舗等を配置することで、歴史的なイメージのあるヒューマンスケールなまちをダウンゾーニング的に形成する。パティオや路地、新しい和風の空間イメージで話題性のある居心地の良い空間をつくる。これらと個別店舗の魅力付けや町屋の中の作業場(料理や工作等の創作作業体験型生涯学習センターや観光客向け作業体験施設)等で楽しいまちとして集客力を高め、地区の活性化を図る。

(C案)市街地再開発事業案
 B案の土地利用転換の方向に加えて、住宅供給を主体とする再開発事業を実施し人口集積を積極的に図る。再開発ビル内にはまちなか道の駅として観光バス駐車場を整備し、対象地区付近を大津市のまちなか観光や休憩の拠点としていく。再開発ビルには福祉、文化施設機能など公益施設機能導入するなど、多機能なまちの形成を図る。表通りでない部分では新たな道路整備(拡幅)により市街地更新を促進し、地域の不燃化、人口の定着を図る。

8.事業化計画
 

(1)事業手法、
概算事業費

(2)資金調達手法、
支援方法

(3)事業採算性

(4)事業化に向けた課題

滋賀県
大津市
(C案)

市街地再開発事業及び店舗、住宅の共同化事業を行なう。

@再開発ビルの整備
 ・約93億円
A共同店舗、パティオの整備
 ・約1億8000万円(1件、10店舗)
B共同住宅の整備
 ・約6億5000万円(30戸)

@再開発ビルの整備
・保留床を住宅、公益施設、駐車場で処分
・市街地再開発事業補助金
・国道、市道整備の公共施設管理者負担金
A共同店舗、パティオの整備:
・商店街パティオ事業(高度化資金):施設整備費の80%(無利子融資)
B共同住宅の整備
・優良建築物等整備事業:補助率 施設整備費の約10%相当(補助金)
・道路用地費の取得
@再開発ビル
・住宅156戸(近隣と同程度の約84u、約3000万円)、公益施設床1720uの処分等により成立可能。
A共同店舗、パティオの整備
・初期の自己資金が約360万円必要。
・TMOによる取得と賃貸も考えられる。
B共同住宅
・上物整備費で約1600万円/戸必要。
・共同化の合意形成
・住宅保留床の処分
・資金調達をより有利に進めるためのTMO活用
・共同化のための自己資金の調達
・高齢者等への魅力ソフト開発(体験型施設)
・大津市への観光客等も立ち寄れるバス駐車場の整備