調査地区のタイプ名:中心市街地活性化型−4(調査地区の名称:出雲市)

1.地区の現況

 出雲市駅から約500m圏で店舗と住宅が混在し、未利用地が1/3を占める。南に高瀬川、西にショッピングセンターが隣接する。ここ35年間で人口が半減し、高齢化が著しく進行。道幅が狭く(3m)、接道しない宅地もある。商業地域に指定され、南側は平成13年に都計道(18m)が完成する。

■土地利用転換計画図(A−2案)

2.上位・関連計画における地区の位置づけ

 中心市街地活性化基本計画で「街なか再生事業」が位置付けられている。地元商店街で商業、ホテル、ギャラリー等の2核1モール型の複合施設を計画している。(新・高瀬川アメニティタウン計画)

3.対象地区の課題

  • 残留希望地権者の住宅の確保、転出希望者の土地の買収方法。
  • 都市計画事業(街路事業)の進捗に合わせた土地利用計画。
  • 土地の高度利用を図るための土地集約と道路等の基盤整備。地権者の合意形成と行政との役割分担。

4.対象地区の既存調査手法における問題点と課題

  • 既存調査はコンセプト・整備イメージの作成が中心で、事業化・土地の流動化に向けた検討が行われていない。
  • 現計画はバブル期の計画であり、ホテル等、導入機能(施設)について検証が必要と考えられる。

■土地利用転換計画図(C−1案)

5.提案者とのこれまでの協議内容と提案者の意向

 提案者(商店街振興組合)は、地権者の一部であるが開発事業者であることから、商業を中心とした一体的な土地利用を目指している(大規模な箱物をイメージしている)。また、事業規模が大きいため、事業への公的機関の支援を期待している。

6.低・未利用地有効活用の方針

(1)土地利用転換計画の目標と導入機能のメニュー

  • 土地利用転換計画の目標
    • 中心市街地に相応しい土地の高度利用と都市環境の形成をはかる。
    • 地区のポテンシャルと地域資源を活かした計画づくりを行う。
  • 導入機能のメニュー
    • 既存の商業施設を強化・補完する集客力のある商業業務機能。
    • 高瀬川沿いに八雲教会の保全した公園を整備し、高瀬川の回遊空間を整備する。(地域の歴史・文化の保存、再生、活用の指摘に対して)。

(2)有効活用の方針

    • 土地利用転換のための基盤整備と土地の集約化・共同化を進める。
    • 事業実施への公的機関の参画、支援方策の導入を積極的にはかる。

■土地利用転換計画図(C−2案)

7.土地利用転換計画

(A−1案)
東西道路をショッピングモールとして整備し、建て替えを契機として商業集積をはかる。(段階的な土地利用の達成、既存空間の活用の指摘に対して)

(A−2案)
土地の集約化と地権者の合意形成をスムーズに進めるため、現状の街区(2街区)を基本として段階的に土地利用転換をはかる。

(B案)
面的な市街地整備(まちなか再生土地区画整理事業)を行い、基盤整備と土地(宅地)の利用増進をはかる。

(C−1案)
敷地の一体化をはかり、期間限定型(仮設タイプ)の商業施設を整備する。(暫定利用、ヒューマンスケールの指摘に対して)

(C−2案)
面的な市街地整備により調査地区を一つの敷地として土地の集約化をはかり、商業施設と交流施設(公益施設)からなる複合施設(共同建築物)と立体駐車場を建築する。

8.事業化計画
 

(1)事業手法、
概算事業費

(2)資金調達手法、
支援方法

(3)事業採算性

(4)事業化に向けた課題

島根県
出雲市
(C2案)

・事業手法
市街地再開発事業(街なか再生型)+商店街・商業集積活性化施設等整備事業

・事業主体
各事業参加者及び団体による新組織

・概算事業費
調査設計計画費約225百万円土地整備費 約1,463百万円工事費等  約1,984百万円その他    約799百万円計    約4,909百万円

・補助金  
街なか再生型 約1,169百万円
リノベーション補助         約300百万円

・借入金
日本政策投資銀行融資 約2,167百万円
中小企業団高度化融資 約684百万円
市中銀行融資     約588百万円

・保留床処分金が約34億円、保留床面積は商業が約  5,500u、駐車場5,000uとなる。

・床単価(商業+駐車場)は157万円/坪となり、テナント料15,000円/坪とすると収支は約20年以上と考えられる。

・核店舗(パラオ)の増床が前提条件であるため、事業計画で増床を担保する方法(契約等)の検討が必要である。
・大規模な事業であるため事業主体の事業運営能力が重要となる。
・駐車場はすべて保留床として事業主体が取得する設定であるためその分商業床価格が上昇し事業性を圧迫している。補助金との組合せ等、床単価を下げる工夫が必要である。
・住宅は転出を前提としているが、事業性の向上とまちの活性化の面から住宅導入を検討する必要がある。
・地区内を南北に通る幹線水路の付替えと、それに伴う上流住民の合意形成が必要である。