調査地区のタイプ名:中心市街地活性化型−5(調査地区の名称:原町市)

1.地区の現況

  • 駅通りに面した部分に店舗もしくは店舗併用住宅が点在。現状の実現容積率は50%程度
  • 駅通り沿いの商店街延長が1000m強と長く、密度が薄い印象。また、拠点的施設がない。
  • 原町駅前北部土地区画整理事業により都市基盤整備中(平成14年上旬に仮換地、平成16年度完了予定) 商業地域(400%/80%)
  • 常磐線原ノ町駅橋上化と自由通路整備に向けた調査着手

■土地利用転換計画図(シナリオ1)

2.上位・関連計画における地区の位置づけ

  • 商業施設、市民サービス施設等による駅前再開発事業により、中心市街地活性化の先導拠点を形成する(原町市中心市街地活性化基本計画)
  • 原ノ町駅から西側の駅通り周辺に中心商業ゾーンを設定し、商業施設の集積を図る(原町市都市計画マスタープラン)

3.対象地区の課題

  • 郊外部への大型店出店により商業量による郊外部との対抗は難しい
  • 土地利用の高度化(駅前にふさわしい交流拠点づくり)
  • 脆弱な交通広場機能の拡充
  • 回遊性、滞留時間の確保
  • 市民の手による商業環境創出のための民間参画
  • 駅東口との連携不足

4.対象地区の既存調査手法における問題点と課題

  • 保留床処分と開発規模、導入用途の現実性(大型店や高層住宅の導入可能性)
  • さまざまな権利者意向を反映した計画フレーム
  • 権利者等地元推進方策
  • 現在地元で検討中の計画は権利者意向により商業系を主体とした用途構成になっているが実現性に疑問あり

■土地利用転換計画図(シナリオ2)

5.提案者とのこれまでの協議内容と提案者の意向

  • 密接な結びつきのある鹿島町、飯舘村、小高町を意識した計画に
  • 広域的には、相馬市〜大熊町程度を視野に
  • 駅西口−東口の機能分担の明確化(西口−複合土地利用・中層住宅中心・回遊性形成、東口−機能別土地利用・戸建住宅中心・業務機能補完 等)
  • 西口(旧来市街地)−東口(新市街地)を一体化した活性化案を希望
  • 事業手法は実態にあわせ実現可能な提案を
  • 推進体制は、行政主体にならないようなものにしてほしい

6.低・未利用地有効活用の方針

(1)土地利用転換計画の目標と導入機能のメニュー

目標:

  • 街の滞留時間を高める。
  • 積極的な文化活動を担う場を目指す。
  • 広域的な拠点づくり。
  • 常磐道延伸に対応した交通拠点づくり。
  • 導入機能メニュー:
  • 商業飲食(適正規模の商業機能)
  • 公益・文化施設(地域の交流拠点機能)
  • 高速バスターミナル(交通ターミナル拠点機能)

(2)有効活用の方針

  • 原町市の玄関口として鉄道・高速バスのターミナル機能や広域行政機能の整備により、相双地域の中心として拠点性を強化する。
  • 図書館等の文化施設や駅前にふさわしい商業・飲食機能を整備することにより、中心市街地における滞留時間の向上を図る。
  • 良質な都市型賃貸住宅の整備により定住人口の増加を図る。

■土地利用転換計画図(シナリオ3)

7.土地利用転換計画

(シナリオ1)「中心市街地の交流拠点づくり」

【用途構成】
商業・飲食機能/高速バスターミナル/文化施設(図書館と映像ライブラリ)/地域文化ギャラリー/物産館/行政サービス窓口(旅券事務所等)/都市型賃貸住宅

【事業手法】
第一種市街地再開発事業

(シナリオ2)「中心市街地の文化拠点づくり」

【用途構成】
商業・飲食機能/起業家支援センター/起業家用ミニオフィス/高速バスターミナル/文化施設(図書館と映像ライブラリ)/地域文化ギャラリー/物産館/都市型賃貸住宅

【事業手法】
第一種市街地再開発事業(地区全体を一時期に整備する場合)優良建築物等整備事業(地区内を段階的に整備する場合)地区計画等による町並み形成ルール

(シナリオ3)「部分的更新による小拠点づくり」

【用途構成】
商業・飲食機能/行政サービス窓口(市役所窓口)/都市型賃貸住宅

【事業手法】
特定優良賃貸住宅供給促進事業/特定公的賃貸住宅建設事業地区計画等による町並み形成ルール

8.事業化計画
 

(1)事業手法、
概算事業費

(2)資金調達手法、
支援方法

(3)事業採算性

(4)事業化に向けた課題

福島県
原町市
(シナリオ2)

【事業手法】
第一種市街地再開発事業 ※条件を満たせば商店街近代化事業の適用も考える

【概算事業費】
・従前資産額合計約14.4億円
・用地および補償費約2.2億円
・公共施設整備費約0億円(区画整理事業)
・施設建築物工事費約29.3億円
・土地整備費約0.7億円
・調査設計計画費約5.4億円
・その他費用約1.9億円
・一般会計補助金合計約11.6億円

・一般会計補助金約11.6億円
・保留床処分金約27.9億円
※広場、賃貸住宅(特公賃)は原町市が取得
※その他施設は第三セクターが定期借地権(地代方式)にて整備し、賃料収入から返済
・権利者の収益期待が地代程度であるために、第三セクターが低容積の施設からの賃料収入による建築費返済を可能としている。
・ただし地域のポテンシャルから商業系施設の規模は限られており、一部の公益施設(行政サービス機能)の賃貸収入は事業成立の前提となる。
・地区内を複数のブロックに分割し、段階的整備も可能となるため、権利者意向や行政等関係者の負担額の平準化などに応じた開発が可能になる。
・段階的整備の場合は地区計画による町並み形成ルールが必要である。さらに周辺施設と協調した施設計画を進めるためには第三セクターの活用も考えられる。
・土地区画整理事業のスケジュールとの連携をめざす場合には、2003年度の一部竣工を目指しており、法定事業での実施は難しく、段階的整備となる。
・駅至近のブロックは拠点としての役割が強く求められるが、現状の民間施設だけでは拠点性は弱いため、旅券事務所や市役所窓口業務といった行政サービス機能の誘致が望ましい。
・一部に転出を希望する権利者がおり、保留床処分による補償費捻出が難しいため、転出者希望者部分については広場整備として市負担としている。