調査地区のタイプ名:中心市街地活性化型−6(調査地区の名称:高崎市)

1.地区の現況

  • 中心市街地の人口は毎年減少の傾向にあり、高齢化率(65才以上)は24.4%
  • 土地利用は南部は商業系、北部は住居系
  • 道路整備はほぼ整備済み(東西方向が一部未整備)
  • 商業地域 容積率は600%、建ぺい率は80%

■土地利用転換計画図(STEP1)

2.上位・関連計画における地区の位置づけ

  • 駅西口周辺:広域の商業中心となる商業核を形成(都市マス)
  • 慈光通り:歩行者動線の主軸として様々な商業が立地するメインストリート(市街地総合再生基本計画)
  • 大型店跡地:個性的な若者向けの立地として有効活用を図る(同上)
  • 商業・娯楽・文化機能を中心とした新しい核の形成を図る地域(都市部交通施設計画調査)

3.対象地区の課題

  • 環状道路沿道に大型店が周辺部に大量進出したため、これ以上の商業床の増加は見込みにくい
  • 駅前と城址地区に立地する大型店への集客は多いものの、中心市街地の回遊性に結びつかない
  • 大型店跡地に係わる大規模跡地が不良債権化、固定資産税の滞納額も相当規模になっており、開発のネック

4.対象地区の既存調査手法における問題点と課題

  • 大型店跡地の不良債権処理と活用方法
  • 導入すべき商業施設(特徴ある低層個店もしくは中心市街地内スクラップ&ビルドによる大型店整備)
  • ソフト面では人を集めるための仕掛けや地域住民、行政等が一体となったまちづくりを行う仕組みづくり

■土地利用転換計画図(STEP2:シナリオ1)

5.提案者とのこれまでの協議内容と提案者の意向

  • 大型店跡地周辺を中心とした街区は拠点整備、その他の対象地区については、基本的には中低層の土地利用を基本。東一条通り沿道については店舗併用住宅を主体とし、それ以外については路地や寺社を生かした街なみ形成を軸とした環境整備によって「アーバンツーリズム」を目指したい。
  • 市民は、大型店跡地が競売にかけられ細分化してしまうことを心配している。中心市街地の大切な種地が細分化されては有効活用ができない。
  • 開発までの暫定利用として大型店跡地の慈光通り、東一条通り沿いに「チャレンジ店舗」の検討も。

6.低・未利用地有効活用の方針

(1)土地利用転換計画の目標と導入機能のメニュー

目標:

  • 長期的将来を見据えた効果的な開発
  • 集客力ある機能の導入による拠点性の一定の回復
  • 商業床増加に頼らない商業環境強化
  • 若者から高齢者までの幅広いターゲットに対応した核機能の配置
  • 大型店跡地の不良債権問題の処理

導入機能メニュー:

  • 商業施設、映画館、市立図書館、チャレンジショップ、住宅、駐車場 等を区域とパターン分類により検討を行う。

(2)有効活用の方針

  • 中心市街地としての回遊の集中・分散の基点としての役割
  • 商業中心拠点としての商業機能の再編
  • 駅への至近性・利便性を持つ立地を活かした機能
  • 高崎の文化を提供・発信する機能
  • 中心拠点に相応しい、市内外の訪れた人が共感・共有出来るシンボル空間

■土地利用転換計画図(STEP2:シナリオ2)

7.土地利用転換計画

【STEP1】「効果的な小拠点づくり」

  • 地元主導によるチャレンジショップを配置し、商業の活性化を図る。

【用途構成】チャレンジショップ 等
【事業手法】対象部分の定期借地

【STEP2】
(シナリオ1)「中心市街地の集客・交流拠点づくり」

  • 敷地を最大限に活用し周辺大型商業の集約により商業核の形成を図り、中心市街地での回遊の拠点形成を図る

【用途構成】大型商業/映画館/都市型住宅/駐車場 等
【事業手法】第一種市街地再開発事業/(中核的集積関連施設整備出資事業等 通産省支援)

(シナリオ2)「中心市街地の交流拠点づくり」

  • 中心市街地における滞留時間を長引かせるための環境を商業施設+αの機能より図る

【用途構成】商業施設/都市型住宅/図書館/チャレンジショップ/駐車場 等
【事業手法】街なみ再生型土地区画整理事業/第一種市街地再開発事業/(中核的集積関連施設整備出資事業 等通産省支援)

8.事業化計画
 

(1)事業手法、
概算事業費

(2)資金調達手法、
支援方法

(3)事業採算性

(4)事業化に向けた課題

群馬県
高崎市
(シナリオ2)

【事業手法】
街なか再生型土地区画整理事業第一種市街地再開発事業(一体施行)

【概算事業費】
・公共施設整備費約1.3億円
・移転移設補償費約1.3億円
・その他工事費約2.2億円
・調査設計計画費約0.4億円
・事務費約0.4億円(以上、区画整理)
・従前資産額合計約143.7億円
・用地および補償費約1.4億円
・公共施設整備費約0億円
・施設建築物工事費約102.6億円
・土地整備費約0.8億円
・調査設計計画費約9.7億円
・その他費用約13.1億円
(以上、再開発)

・区画整理補助金約2.0億円
・区画整理施行者負担額 約3.5億円
・一般会計補助金約31.3億円
・保留床処分金約96.4億円
※住宅施設は住宅デベロッパーが一部取得
※駐車場は各施設にて按分
・対土地変換率は186%程度と高水準になっている。
・住宅施設は市場水準巾にあると思われるが、300戸程度と戸数が多いことから短期処分性に若干難がある。
・処分の難しい商業床を権利床でカバーすることが困難な場合、商業床の所有形態として公的支援が必要。
・駐車場に関しては回遊性の拠点という位置づけから周辺商店街の活性化に貢献する施設であり、現在は各施設で按分しているが、都市計画決定など公的支援の検討の余地有り。
・不良債権化した土地のクリアランスを市施行による区画整理で行っているが今後事業化に向けての課題を積めていく必要あり。
・地区全体を区域としていることから権利者数が多くなることと大規模な事業となるため、周辺との充分な調整期間が必要となる。
・不良債権化した土地については区画整理事業に組み込む事で処理しているが詳細な調査や調整が必要。
・参画・転出が判断できない段階であり100%参画として資産計上しているが補償費の処理や床処分性などから極力転出しなくても良い方向で事業を進める必要がある。