調査地区のタイプ名:新・都市環境創造型−1(調査地区の名称:角館町)

1.地区の現況

@人口:14,846人(若者層の減少が出生数の減少に結びつき総人口が減少)
A高齢化率:総人口に占める65歳以上の割合は24.7%(平成10)。平成に入り急速に高齢化が進行している。
B土地利用現況:工場跡地および町有地(都市計画道路事業用地)からなる。更地、および住居系既成市街地から構成されている。
C基盤整備状況:駅前広場、および都市計画道路の一部が整備済み。
D法規制状況:用途地域:商業地域400%、第一種住居地域200%

7.土地利用転換計画

■土地利用転換計画図(A案)

民間用地における開発計画案

  • 民間用地(エムプレス工場跡地)のみでの開発計画案
  • 既存の都市基盤をそのまま活用し、事業初期段階では、既存工場施設の再利用等による集客施設(ミュージアム)や物販施設の導入を図る。

2.上位・関連計画における地区の位置づけ

  • 角館町将来土地利用構想:駅前広場計画に合わせた角館町の「顔」づくり を行う商業地区として位置付けられている。

3.対象地区の課題

  • JR秋田新幹線駅前における低未利用地の有効活用
  • 開発推進のためのボトルネック解消(土地所有形態、日影規制による制限等)
  • 秋田内陸縦貫地域(6町2村)および仙北郡を含んだ広域地域における地域振興のための中核拠点としての役割

4.対象地区の既存調査手法における問題点と課題

  • 既存調査なし
    (都市計画道路中央線整備事業により、対象地区内での駅前広場整備は完了)

■土地利用転換計画図(B案)

民間用地と町有地の一体利用による開発計画案

  • 民間用地(エムプレス工場跡地と調査地区内の町有地等(都市計画道路事業用地)を一体型に利用した開発計画案。
  • 町有地(都市計画道路事業用地)と、対象地区に近接する羽後交通バスターミナル用地等(同事業による移転を想定)の交換を行い、対象地区内に交通結節機能を導入する。

5.提案者とのこれまでの協議内容と提案者の意向

  • 提案者側は早期の事業化を望んでいるが、町側に対象地区に関する具体的な構想が存在しないため、官民連携型の開発を希望する提案者側との調整が必要である。

6.低・未利用地有効活用の方針

(1)土地利用転換計画の目標と導入機能のメニュー

[目標]

@ 街の第一印象を決める「駅前の顔づくり」の推進
A 周辺地域をつなぐ交通ネットワーク機能の拠点づくり
B 産業の活性化につながるサポート機能の整備
C 人口減少への対応・地元における雇用の場の確保

[導入機能]

「交流・情報機能」:準都市型ホテル、角館まんがファクトリー・情報館
「産業支援機能」 :物産品販売施設、観光用飲食施設
「交通結節機能」 :観光シャトルバスセンター、大型バス駐車場
「定住促進機能」 :Iターン・Uターン受け入れ用居住施設

(2)有効活用の方針

  • 角館町及び周辺エリアにおいて当地区の果たす役割は大きく、開発主体の 組み合わせ等を考慮して、3パターンの土地利用転換計画の策定を行う。

■土地利用転換計画図(B’案)

段階整備を想定した市街地再編計画案

  • B案のバリエーションプラン(対象地区内の既成市街地の部分的な再編を行い、開発エリアの区域どりを整形した案)
  • 事業ポテンシャルを考慮し、開発区域・時期を二期に分けて想定する。また、必要に応じて区域内に区画道路の整備を想定する。

角館町(中心市街地)における将来的な都市構造の考え

8.事業化計画
 

(1)事業手法、
概算事業費

(2)資金調達手法、
支援方法

(3)事業採算性

(4)事業化に向けた課題

秋田県
仙北郡
角館町

<想定される基盤整備手法>
・駅前広場、都市計画道路等の都市基盤整備は整備済。
・B'案では、街路事業等(既成市街地の部分的な再編・区画道路の新設)の導入

<想定される他の整備手法>
・街並み街づくり総合支援事業、人にやさしいまちづくり事業等、優良建築物等整備事業、市街地再開発事業、個別建築行為、都市景観条例及び景観形成、地区指定、景観形成モデル事業、建築協定等

・同上の手法による補助金等の活用

<経済波及効果>(資産価値法の考察)
・案とも現在角館町の地価中心は既成市街地内であるが、当開発により新たに角館駅前に中心核が形成されることにより、調査対象地区周辺では、全般的に地価が上昇することが予想される。また、角館町においては、実効容積率、前面道路幅員、角館駅までの距離の順で地価変動に影響している。
・3案とも調査地区内の特に土地の高度利用が想定される民間提案地区において地価上昇率が高くなることが予想される。
・B案では、現在未利用地である町有地においても土地利用がなされ、その部分についても地価が上昇することが予想される。
・B' 案では、第T期開発想定エリアにおいては、A案およびB案と同様の結果となる。ただし、区画道路の整備費や個人権利者を含むことによる補助金や補償費等の事業費が他の案に比較し増大することが考えられる。

<周辺土地利用促進効果>
・3案とも町の基幹産業である観光産業を中心とした施設の検討では、冬期の施設稼動状況、周辺施設との競合状況等から事業成立性の低さが指摘された。特に、初期の事業投資負担のみでなく、施設整備後の経営面での課題も大きい状況にある。
・B' 案では、関連公共事業等との一体的な整備を促進することにより、駅前の計画的な土地利用を実現することが可能となる。

・3案とも事業成立性の低さ(初期の事業投資負担と、施設整備後も周辺環境の中での経営苦戦が予想されること)から、民間単独による事業体制では難しい状況にある。但し、B'案では公共事業との組み合わせが想定できる。
・A、B案では菅沢踏切部分のアンダーパス化が実施された場合には、施設整備に伴う交通負荷(大型バスの乗り入れ等)が駅北線や駅前広場周辺に生じる。B'案ではT期とU期の開発想定エリアの間に区画道路を入れ、水ノ目沢線を整備することで計画対応できる。またB案では現町有地はアンダーパス化の事業用地であり、活用する場合には代替地の確保が必要である。
・3案とも現行日影規制の影響から、土地の高度利用が制限されており、用途地域の変更等計画的対応が必要である。
・B案では開発区域が不整形のため、土地の有効利用を展開できない。
・B'案では工場跡地以外の既成市街地を大幅に開発エリアに入れるため、関連地権者の合意が必要となる。