(1) |
不動産鑑定士は、公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合において、当該土地の正常な価格を求めるときは、公示価格を規準としなければならない(法第8条)。公示価格を規準とするとは、対象土地の更地としての価格を求めるに際して、当該対象土地とこれに類似する利用価値を有すると認められる1又は2以上の標準地との位置、地積、環境等の土地の客観的価値に作用する諸要因についての比較を行ない、その結果に基づき、当該標準地の公示価格と当該対象土地の価格との間に均衡を保たせることをいうとされている(法第11条)。この場合、対象土地の価格判定の基準日と標準地の価格判定の基準日(毎年1月1日)とは異なるのが通例と思われるが、その際には、二つの基準日の間の地価の変動を考慮して、必要に応じていわゆる時点修正を行わなければならない。 |
(2) |
土地収用法その他の法律によって土地を収用することができる事業を行う者は、公示区域内の土地を当該事業の用に供するため取得する場合(当該土地に関して地上権その他当該土地の使用又は収益を制限する権利が存する場合においては、当該土地を取得し、かつ、当該権利を消滅させる場合)において、当該土地の取得価格(当該土地に関して地上権その他当該土地の使用又は収益を制限する権利が存する場合においては、当該権利を消滅させるための対価を含む。)を定めるときは、公示価格を規準としなければならない(法第9条)。 |
(3) |
収用委員会は、収用に係る土地に対する補償金の額を算定する際には、事業の認定の告示の時における相当な価格に権利取得裁決の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて算定することとなっているが、公示区域内の土地について、この相当な価格を算定するときは、公示価格を規準として算定した当該土地の価格を考慮しなければならない(法第10条)。 |
(4) |
公示区域内において、土地の取引を行う者は、公示価格を指標として取引を行うように努めなければならない(法第1条の2)。 |
(5) |
地方公共団体、土地開発公社等は、公有地の拡大の推進に関する法律(昭和47年法律第66号)の規定に基づいて、公示区域内の一定の土地を有償で譲渡しようとする土地の所有者等が都道府県知事に届出又は申出した土地を買取ろうとする場合は、公示価格を規準としなければならない(公有地の拡大の推進に関する法律第7条)。 |
(6) |
都道府県知事は、公示区域内の土地について国土利用計画法の規定に基づいて基準価格(許可申請に係る土地の所有権の価額、不許可の場合の土地の所有権の買取り価額、届出に係る土地の所有権の価額及び遊休土地の買取り価額)を算定する場合は、公示価格を規準として算定しなければならない(国土利用計画法第16条第1項第1号、第19条第2項、第27条の5第1項第1号、第27条の8第1項第1号、第33条)。 |
(7) |
土地基本法第16条の公的土地評価の適正化等の規定を踏まえ、土地の相続税評価及び固定資産税評価については、公示価格を基準等として、その一定割合程度を評価割合として評価が行われる。 |