我が国経済の最近の動きをみると、設備投資は回復傾向にあり、住宅建設は高い水準で推移しており、個人消費も緩やかな回復傾向にある。また、純輸出の減少テンポは鈍化している。こうした需要動向を背景に、生産は緩やかに増加している。以上のように、景気は回復の動きを続けている。そのテンポは緩やかであるものの、民間需要は堅調さを増している。ただし、雇用情勢は改善しつつあるもののなお厳しい状況が続いている。

　個人消費は、緩やかな回復傾向にある。

　実質消費支出（全世帯）をみると、前年同月比で７月 4.4％減の後、８月は 0.0％増（前月比5.1％増）となった。

　住宅建設は、高い水準で推移している。

　新設住宅着工〔総戸数（季節調整値）〕をみると、前月比で８月 9.1％減（前年同月比 14.3％増）となった後、９月は 9.3％増（前年同月比 17.4％増）となった。

　設備投資は、回復傾向にある。

　 機械受注（船舶・電力を除く民需）は、前月比で７月は 13.6％増（前年同月比22.0％増）の後、８月は11.1％減（同11.4％増）となり、全体では緩やかな回復傾向にある。民間からの建設工事受注額（50社、非住宅）をみると、おおむね横ばいで推移してきたが、９月は95.8％増（前年同月比 91.5％増）となった。

　鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、緩やかながら増加している。在庫は９月減少した。

　鉱工業生産は、前月比で８月 2.3％減の後、９月（速報）は1.0％減となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で８月0.8％増の後、９月（速報）は1.3％増となった。

　

　雇用情勢をみると、改善の動きがみられるものの、完全失業率は高い水準で推移するなど、厳しい状況が続いている。

　有効求人倍率（季節調整値）は、８月0.71倍の後、９月0.71倍となった。完全失業率（季節調整値）は、８月 3.3％の後、９月 3.3％となった。

　輸出は、おおむね横ばいで推移している。

　通関輸出（数量ベ−ス、季節調整値）をみると、前月比で８月 2.9％増の後、９月は 4.1％減（前年同月比 1.7％減）となった。

　輸入は、伸びが鈍化している。

　通関輸入（数量ベ−ス、季節調整値）をみると、前月比で８月7.7％減の後、９月は3.1％増（前年同月比3.2％増）となった。

　国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字幅は緩やかな縮小傾向で推移しているが、そのテンポは鈍化している。

　８月（速報）の貿易・サービス収支（季節調整値）は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大し、サービス収支の赤字幅が縮小したため、その黒字幅は拡大し、3,831億円となった。

　消費者物価は、安定している。

　９月の全国指数をみると、前年同月比保ち合い（前月比 0.4％の上昇）となった。

〔本文中、前期（月）比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告」による。〕