第26回国土審議会 議事要旨

第26回国土審議会 議事要旨

第26回国土審議会 議事要旨
 
1 日時
 令和5年7月4日(火)15:30 ~ 16:34  
 
2 場所
 中央合同庁舎3号館11階特別会議室(オンライン併用)
 
3 出席委員
 永野会長、遠藤委員、梶山委員、小宮山委員、佐藤委員、高木委員、谷合委員、野上委員、青木委員、浅野委員、池邊委員、石田委員、垣内委員、木場委員、末松委員、高村委員、田澤委員、柘植委員、中村委員、村尾委員、山野目委員、渡邉委員
 
4 議事
(1)新たな国土形成計画(全国計画)(案)について
(2)第六次国土利用計画(全国計画)(案)について
(3)その他
 
●主な発言内容(委員発言順)
○前回の会議で、高規格道路ネットワークの具体的な数値の記載について発言した。今回の国土形成計画に概ね2万キロ余という具体的な数値を記載いただいたことに感謝申し上げる。これまで計画されていた高規格幹線道路と地域高規格道路が一体化し、全国の人と地域がシームレスにつながり合う国土づくりに大きく貢献をすることを期待する。
○老朽化インフラについては、今後暮らし方に変化が起こるなか、ダウンサイジングやエリアの限定に踏み込むとメッセージとして有効ではないか。
○歩いて移動や生活ができるよう、中心市街地がコンパクトシティとなって生活が豊かになり、周辺地域においても生活や文化的な豊かさが実現できるのではないか。
○高規格道路、鉄道幹線のネットワークは、地方において大変重要な課題であり、このように書き込まれたことに大変感謝申し上げる。一方で、DXやGXが大変重要であると書き込んであり、コンパクトシティも含めてどのように移行して行くか、今の時期は移行期だと思う。DXやGXが推進された場合に、このネットワークの問題を改めて考えていかなければいけないと感じている。
〇計画が宝の持ちぐされにならないよう、国民各層にしっかり伝える努力をしていただきたい。
○高規格道路について具体的な数値を示したことや、暫定二車線の四車線化など位置付けられていることに意義があると思う。
○計画の推進には国民の理解と共感が何より重要だと思うので、それが向上する取組を進めていただきたい。
〇このような素晴らしい計画をどう社会実現、実装していくかに関して、国民の理解と共感が大前提だが、それと同時に今政府が持っている種々の政策手段をどううまくパッケージ化をして、地域生活圏やモデルケースをどう支援していくか、具体的なあり方を構築し、推進していただきたい。
○国土計画はいつも素晴らしいものができるが、毎度見直しが行われるまで進捗確認が行われないことが非常に問題である。市町村の担当者が使えて、議員にも見てもらえるようなデジタルの研修資料をつくってほしい。また、国土計画は諸外国が注目しているが、日本の国土計画は英語版がない。概要版だけでいいので英語版を作り、国際的に情報発信してほしい。
○両計画案と留意事項について特段の異議はない。丁寧に修正、加筆していただいたことに敬意を表す。国土は生産、生活、社会、文化のベースとなるところで、国の様々な計画と密接に関わるが、現時点で具体的に書き込める所をできる限り分かりやすくしていただいたと思う。例えば、農村における持続的な土地利用について、中山間地を中心に具体的に書き込んでいる。様々な関係する計画との連携が今後も重要で、両者にとって良くなる、シナジー効果を発揮できる管理が必要で、留意事項の1に具体的に書いてある点が大事。
○前回、地域生活圏のスケールの自由度を増すということで意見を申し上げたが、その対応として、具体的な先進例を示すことが、実際の現場の方にとって非常に重要だと思う。留意事項に先進的なモデルケースの創出とはっきり書いていただき非常に重要な事項を書き込んでいただいたと思う。
○自然環境や再生可能エネルギーの問題は、地域でぶつかるケースが多いが、それについてもきちんと検討するよう記載していただきよかった。気候変動とグリーンインフラについても、これからの国土の未来について指し示す内容になっている。
○留意事項に記載された内容は非常に大事なこと。一方、両計画の進捗について具体的にどのような時期にチェックをするのか、例えば、2~3年に一度、進捗をチェックするなど、こうした観点について教えていただきたい。
〇この国は人口の急激な減少をはじめとして、放置すれば、国力は徐々に失い、経済、社会、生活すべての面で下向きのスパイラルに陥りかねない。今回それに対してあらゆる角度から、処方箋を示していただいたと思う。しかし、実現に向けては新しい仕掛けが必要になるなど、そのハードルは極めて高い。関係者の充分な理解、決意、覚悟さらに果敢な行動が必要。まずはどれだけの関係者にその内容を浸透させることができるかは言うまでもないが、今後の広域地方計画の中で、だれが何をどのように進めるのかという点について、極力、具体的、明確に記述いただければ、実現に向けてやりやすいのではないかと思う。そういう意味で、留意事項は極めて意味があるものと思う。
○本計画案においては、いわゆる複眼型国土の実現、デジタルインフラ整備、広域交通ネットワークの整備強化、さらに2025年大阪・関西万博の位置づけなどの意見を反映いただきお礼申し上げる。また、首都機能のバックアップ体制の構築については、首都直下型地震の発生等に備えた平時からの体制構築、いわゆるデュアルオペレーションの必要性が明記されていることに加えて、行政中枢機能の一時的な代替に関する事項についても手厚く追記をいただき、現時点における取組の必要性を最大限盛り込んだものと認識している。今後どのように取組が確実に実行されていくかが非常に重要であり、確実に実行されることを期待している。
○各地域においては本計画をもとに広域地方計画の策定が進んでいくが、関西においては日本中央回廊の西の拠点となるべく、我が国の成長を牽引する地域を目指し、近畿圏広域地方計画協議会の一員として関西広域地方計画の策定に取り組んでまいりたい。
〇テレワークの推進について計画の各所に記載されていること嬉しく思う。骨太の方針に良質なテレワーク、テレワークを活用した転職なき移住という言葉があり、まさに本計画と歩調を合わせた形で記載されていることも嬉しく思う。テレワークはコロナ禍における感染症対策として広がったが、収束とともに実施する企業が減っているという話を聞く。三歩進んで一歩下がったけども、ここから三歩目を進めていくタイミングが今だと思う。国土づくりだけでなく、少子化対策、防災、ビジネスケアなど、いろんなシーンでこれからの日本を作っていくと思う。
○委員の皆様の専門分野から情報発信をして頂いて国民の皆様に親しみやすい計画になり、実施されていけば嬉しく思う。
〇ターゲットに応じて手法を工夫して分かりやすく効果的な周知広報を行うということだが、従来であれば具体的に届く道筋が今ひとつ見えないことが多かったと思う。きちんと対象者を絞った上で何を誰がどう効果的に周知して行くのか、ここをしっかりと選んで広報を行っていただきたい。
〇今後は地方にて広域地方計画の策定が進んでいくが、全国計画の趣旨が広域地方計画を作る方々にしっかりと伝えるための仕掛けが今後重要だと考える。研修を拡大し、地方の方々の理解促進のためにも、取組事例について議論する機会等を作ったことは今後に向けて非常に価値のあることだと考える。前例にとらわれず積極的に伝えていく気持ちを強くもった広報、計画ができた後の周知、実行につながる広報を期待する。
○これまでの議論を適切にかつ丁寧に、新たな国土形成計画、国土利用計画に反映していただいた。今回の計画は極めて重要なタイミングでのとりまとめである。我が国をめぐる社会経済状況は大きく変化しており、今は時代の転換点である。人口減少、少子高齢化はもちろんのこと、気候危機、生物多様性、巨大災害のリスク等の課題に対応する、様々な知恵を集めた計画となった。また、2050年のカーボンニュートラルに向けたエネルギーシステムの転換は、日本の産業競争力にも影響を与える大きな変化である。こうした変化の中で大きな変革が求められている時に、必要な国土の在り方について問題提起をし、今後の方向性を示した計画になっていると思う。
○留意事項はとても重要である。計画と一体のものとして、留意事項に沿って、計画に魂を吹き込むべく、計画の着実な実施をお願いしたい。新時代に地域力をつなぐ国土という、新たな国土の形成に向けて、政府一体となって計画の強力な推進を図っていただきたい。まずは地方広域計画の策定があるため、その中での計画作りと実施をお願いする。また、多くの施策は官庁横断的にまたがっており、いかに統合的に政府一体で進めていけるかが重要となるため、本日ご出席の先生方と国土交通省のリーダーシップに期待したい。
 
(事務局からの回答)
〇人口減少が進む中でのインフラ整備の考え方、特にインフラ老朽化の問題についてご指摘いただいた。従前の計画のようなインフラ、国土基盤の整備と書くだけはでなく、今回の計画において国土基盤の高質化を打ち出ししている。国土基盤が果たすべき役割として、安全・安心の確保、生活の質の向上、人口が減る中でも、いかに経済成長を進めていくか、生産性を高めるという観点から支えていく役割、それらを充実させていくことは勿論のこと、DXやGXなど、様々な社会経済状況の変化に応じたインフラ整備のあり方を整理している。その中で、国土基盤の高質化の大きな柱として戦略的メンテナンスによる国土基盤の持続的な機能発揮を打ち出している。具体的には、予防保全型メンテナンスへの本格転換、広域的・戦略的なマネジメントを推進する。小さい市町村には技術系の職員もいないところもたくさんあるのが実情である。そうした中、個別の分野で市町村ごとにメンテナンスを市町村におまかせするのは厳しい状況になっている。こうしたことから、分野横断的に地域全体を巻き込んでメンテナンスの戦略を考えていく必要があり、広域的・戦略的にインフラのマネジメントを行う地域インフラ群再生戦略マネジメントを、地域と一緒にしっかり進めていくという方針を打ち出している。また人材不足が進む中で、様々な先進的技術を活用しながら、メンテナンスの効率化、高度化を図っていくことをしっかり打ち出している。本計画と国土強靭化基本計画の新しい計画を一体として策定をして、老朽化の問題を含めて、政府一丸となって取り組んでいく方針である。
〇歩いて暮らせる空間の重要性やコンパクトシティについてご指摘をいただいた。今回の大きな柱としてデジタルとリアルが融合した地域生活圏を打ち出している。その具体的な内容として、人中心のコンパクトな多世代交流のまちづくりを位置づけ、こどもまんなかまちづくりという大きな柱も含めて、自動車交通だけではない、道路空間をいかに人に開放して行くのか、居心地がよく歩きたくなるまちなかづくりということも打ち出している。歩行だけではなく、自転車の活用促進も含めて整理している。
〇計画策定後の進捗管理、モニタリングについてご質問をいただいた。会長代理から示された留意事項においても、国土審議会としてしっかり進捗状況を点検して必要に応じて提言していくとされている。これから本計画のご了承いただいた上で、永野会長ともご相談して、計画を推進する体制の構築や定期的なEBPMに基づいた進捗管理についても実施していく。
〇計画の実行、周知広報について個別具体の様々な工夫の提案及び意見をいただいた。国交省、関係省庁、様々な関係者と連携をしながら、しっかり取り組んでまいりたい。計画を作るのが終わりではなく、これからリスタートということで進めていくつもりである。
〇皆様から計画の実効性を確保すべきとのご指摘を多数いただいた。計画決定後に、その推進状況を点検するための新しい組織を、この国土審議会の下につくりたい。そのうえで、定期的に審議会に御報告する機会も設けたいと考えている。
 
●国土形成計画(全国計画)(案)及び国土利用計画(全国計画)(案)について概ね妥当なものとし、増田会長代理(計画部会長)から提案がなされた計画の実施に当たっての留意事項を付すことが了承された。
 
●閉会挨拶
斉藤大臣より挨拶
 
※速報のため、事後修正の可能性があります。(文責 事務局)

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