国土交通省防災情報
河川局防災課災害対策室
平成17年4月1日
海外の自然災害
◆海外の自然災害の状況

2005年   2004年   2003年   2002年   2001年

2004年
●1〜2月 ブラジルの洪水
 2003年末より04年2月にかけてブラジルでは異常降雨となり、国内26州のうち17州で洪水や土砂崩れの被害が発生した。死者は全土で161人に達し、約23万人が避難生活を余儀なくされた。首都サンパウロでも少なくとも29人が死亡し、16の架橋が破壊されたほか、ハイウェイは川のような状態となったという。通常は乾燥気候である北東部でも町全体が浸水する地域もあった。ブラジル政府は、孤立した地域の人々の救助や、学校などへの避難、負傷者の治療などに追われた。

●2月 モロッコ地震
 2004年2月24日現地時間午前2時27分、モロッコ北部沿岸付近でM6.4の強い地震が発生した。震源に近い港町ホセイマや周辺の村では大部分の家が泥を乾燥させただけの日干しれんがで建てられているため、多くの住民ががれきの下敷きになるなど、死者628人、負傷者約920人、家屋全壊2,540棟という被害が発生した。ホセイマ周辺の山間地では、崖崩れ等による道路不通で孤立したままの地域も残り、軍がヘリコプターを出して状況の把握にあたるとともに、部隊が地上から徒歩で現地に向かうなど救援活動が難航した。モロッコは地震頻発国で、1960年には同国南西部の地震で1万数千人が死亡している。

●3月 マダガスカルのサイクロン
 2004年3月7日、20年間で最大級規模に発達したサイクロン「ガフィロ」がマダガスカル北部に上陸、島北部を横断した。8日に一旦島から離れたが、その後進路を変え10日に島南西部に再上陸し南部に被害をもたらした。このサイクロンの横断により、少なくとも198人が死亡、161人が行方不明、12万人が家屋を失った。国営ラジオによると、サイクロンによる死者のなかには、堤防の決壊で発生した洪水により溺死した人も含まれているという。マダガスカルは同年1月下旬にもサイクロン「エリータ」によって被害を受けている。

●5月 ミャンマーのサイクロン
 2004年5月19日、ベンガル湾をサイクロンが襲い、バングラデシュ国境付近のミャンマー南西沿岸部の4村では数時間にわたり高さ約3メートルの高潮に見舞われた。このサイクロンによる暴風・高潮被害により、死者236人、被災者2万5,000人、家屋の全半壊約2,000棟等の被害が発生した。同国のサイクロン被害としては1968年以来最悪という。

●5月 ハイチ、ドミニカ共和国の洪水
 2004年5月末、カリブ海のイスパニョーラ島に位置するハイチ及びドミニカ共和国を記録的な集中豪雨が襲い、大規模な土砂災害や洪水により両国で計2,000人近くが死亡、家屋約5,000棟が倒壊するという激甚な被害が発生した。集中豪雨は同島の国境付近でひどく、特にドミニカ共和国西部にあるインデペンデンシア県ヒマニ地区の記録的な集中豪雨では、夜明け前の河川の氾濫で住民が睡眠中に家屋と共に押し流され、同地区のみで393人が死亡、274人が行方不明となった。ドミニカ共和国全体では414人が死亡、1万5,000人以上が被災した。
 ハイチの被害はさらに大きく、主に土砂崩れにより少なくとも1,660人が死亡した。ドミニカとの国境付近に位置し、小川沿いに広がる村フォン・ヴェレットでは、鉄砲水が発生して町の一部が土砂に埋まり、少なくとも237人が死亡した。

●6〜9月 南アジアの洪水
 2004年、インドやバングラデシュなど南アジアの各国では、雨期に入った6月から9月にかけて激しい豪雨に断続的に見舞われ、死者がインドで2,178人、バングラデシュ898人、ネパール185人など、南アジア全体で死者が3千人を超える大規模な被害となった。インド北部では洪水や地すべりが相次いで報告され、また、バングラデシュでは国土の約3分の2が浸水し、人口の約20%に当たる約3,000万人が被災したという。首都ダッカでも住民の半数近くが家屋を失い、避難所での生活を余儀なくされた。バングラデシュは政府の救援活動だけでは対応が追いつかないとして国連に支援を求めるなど、各国は、国際社会からの迅速な支援が必要な状況となった。

●8〜9月 カリブ海諸国、米国のハリケーン
 2004年8月中旬から9月にかけて、カリブ海諸国および米国をハリケーンが次々に通過・上陸し、ハイチや米国などで甚大な人的被害が発生した。中でも9月下旬のハリケーン「ジーン」によりハイチ北部の都市ゴナイブを中心に各地で洪水が発生し、同国のみで1,870人が死亡、884人が行方不明となる大被害となった。ハイチでは住民による無秩序な伐採で98%の森林が破壊され、同年5月の南部の洪水でも約1,700人が死亡するなど、大雨のたびに土砂崩れが発生し多数の死者を出している。

●9月 中国長江上流域の洪水
 2004年9月上旬、中国西部を流れる長江(揚子江)上流域の重慶市と四川省が継続的な豪雨に見舞われ、大規模な洪水や土石流の被害が各地で発生した。重慶市および四川省で洪水や土石流により196人が死亡し、住宅倒壊等による緊急避難等で被災者は1,000万人を超え、家屋被害は約30万棟にのぼった。4日から集中豪雨が続いた重慶では、地元メディアが「200年に1度の大洪水」と報道した。被災地では交通、電力、天然ガス、水道等の施設が破壊され、直接的な経済損失額は30億元に達した。

●10月 インドの豪雨
 2004年10月上旬、インド北東部を襲った暴風雨により、アッサム州、ウェストベンガル州等で洪水や地すべりが発生し、210人が死亡、125万人が被災、家屋3万棟が全壊し、多くの地区が土砂崩れによる道路寸断で完全に孤立する事態となった。中でもアッサム州Goalpara地区で発生した地すべりでは160人以上が犠牲となる大被害が発生した。現地周辺では住民による無計画な農地開発が行われており、斜面の土砂が不安定になっていたため、このような土砂災害が起こりやすい状態になっていたという。

●11月 フィリピン・ルソン島の台風
 2004年11月末から12月初めにかけて、フィリピンは相次いで台風に見舞われ、ルソン島を中心に土砂崩れや洪水などにより全土で死者・行方不明者は計1,600人以上に上った。ルソン島東部沿岸部のケソン州などでは台風27号の影響により、12月2〜3日にかけて10万人以上が高台に避難した。
 ルソン島など同国北部は例年20前後の台風に見舞われるが、04年は6〜10月の雨期に台風の上陸がなく、地元メディアでも「異常気象」が話題になっていたという。しかし乾期に入っている11月下旬から相次いで台風・熱帯低気圧が上陸したため例年より多い上陸数となった。

●12月 インドネシア・スマトラ島沖の地震・津波
 2004年12月26日現地時間07時58分、インドネシア・スマトラ島西方沖でM9.0の大規模な地震が発生した。この地震の影響でインドネシア、スリランカ、インド、タイ、マレーシアなどインド洋沿岸諸国に津波が押し寄せたほか、数千キロも離れたインド洋に面したアフリカ諸国(ケニア、ソマリア等)まで津波が到達し、死者・行方不明者総数が22万人以上という大災害となった。この地震による激甚な人的被害は主に津波によるものである。被災地の多くは地震や津波災害の経験がなく、津波に対する危機意識が低かったこと、および津波警報システムが未整備であったことが被害拡大の大きな要因と思われている。
 これまで世界の災害史上最悪の津波は、1883年のインドネシア・クラカトア火山爆発に伴う津波で死者数3万6,000人であり(日本においては1896年の明治三陸地震で死者約2万2,000人)、これを大幅に上回る規模の激甚災害となった。


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