新たな世紀を迎えてわが国の社会環境は目まぐるしく変革を遂げ、
地球規模の環境問題や少子高齢・人口減少社会への移行など、従来の下水道事業を確実に進めるだけではなく、
これらの変化に迅速に対応した効果的で社会ニーズに即した整備が求められており、
既成の技術の枠にとらわれず、大胆な発想で新技術の開発を進めていくことが必要とされています。
国土交通省都市・地域整備局下水道部及び国土技術政策総合研究所下水道研究部は、関係研究機関と連携を図りつつ、
平成15年9月から財団法人下水道新技術推進機構に第3次下水道技術五箇年計画策定検討委員会を設け、
学識経験者等からの情報、資料及び意見を踏まえ改定作業を行い、パブリックコメントを経て、
第3次下水道技術五箇年計画を策定しました。
本計画では、「技術で拓く安全、環境、生活コストの安い暮らしそして活力ある、
誰もが参加できる社会」という基本理念のもと、
長期的目標を視野に置きつつ五箇年間という比較的短期間における具体的な研究開発の目標を示し、
併せてその間に国が実施する技術開発の内容を掲げています。
1.経緯
国土交通省(旧建設省)では、平成6年に下水道技術の開発、導入プログラムとして、
初めて策定された「下水道技術五箇年計画」(第1次下水道技術五箇年計画)に引き続き、
21世紀を目前にした平成12年に、「みんなで創る、水・まち・地球の新世紀」を基本理念として
「新下水道技術五箇年計画」(第2次下水道技術五箇年計画)を策定し、
下水道技術の開発や導入・普及に努めてきたところである。
しかしながら、また、情報通信など様々な分野で技術革新が進んでいく中、
これらの技術を下水道に活用して効率的な整備を推進することが今まで以上に重要となってきている。
このような状況の中、国土交通省では平成15年に「国土交通省技術基本計画」を策定し、
「社会資本整備重点計画」に基づいて、下水道を含む社会資本全体の整備を支える技術開発分野について、
今後5年間における国土交通省の技術研究開発の方向性について明らかにした。
また、そもそも下水道に関する技術は土木、建築、衛生、機械、電気などの幅広い技術分野に関連しており、
技術開発に携わる研究者が下水道技術の現状やニーズについて共通の認識を持ち、
ひとつの方向性を持って研究を進めるためには、中期的な目標と方向性を具体的に示す必要がある。
これらの諸状況を勘案し、現在の下水道の置かれている状況を的確に把握し、
また第2次下水道技術五箇年計画の下で開発された主要な技術に関する評価を踏まえて、
新たな下水道技術の開発・導入の内容及び方策を示した「第3次下水道技術五箇年計画」を策定する。
2.主要課題
第3次下水道技術五箇年計画では、今後の社会資本整備を進める上で必要な技術開発の方向性を大局的に示した
「国土交通省技術基本計画」に沿った計画として、国土交通省全体で進める技術開発戦略と整合の取れた計画とする。
「国土交通省技術基本計画」の開発戦略として示された5つの目標を「主要課題」とし、
下水道を取り巻く社会情勢の変化を的確に反映させるため、主要課題の下にキーワードともなる中課題を設け、
さらに詳細な技術開発項目を挙げている。
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