新世紀のまちづくりは地域が主役
〜都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律〜

 現行都市計画法は、制定後30年を経過し、都市への人口集中の沈静化、モータリゼーションの進展等、都市をめぐる経済社会環境は大きく変化しています。こうした経済社会環境の変化に対応し、地域が主体となって地域ごとの課題に的確に対応しうる制度とするため、都市計画制度を大幅に見直すこととし、5月19日に「都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律」が、公布されました。ここで今次改正法律の一部をご紹介します。
 まず、都市計画マスタープランの拡充です。安定・成熟した都市型社会の時代においては、都市の将来見通しなどを踏まえ、都市計画区域ごとにあらかじめ目指すべき都市像を、地域社会の合意として明確にした上で都市計画を定める必要があります。このため、都市計画マスタープランを充実することとしました。具体的には、すべての都市計画区域において都市計画マスタープランとして、「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」を都市計画として決定することとしたものです。マスタープランの都市計画決定を通じて、住民自らが都市の将来像について考え、都市づくりに対する理解を深めるとともに、合意の形成が促進されるものと考えられます。
 次に、線引き制度及び開発許可制度の見直しです。都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に区分する線引き制度及びそれを担保する開発許可制度は、昭和30年代後半から40年代にかけて全国の都市に見られた急激な人口の増加と市街地の拡大に対応するため導入されたものです。これらの制度は今日なお大きな役割を果たしておりますが、施行後30年を経て、安定・成熟した社会に対応した制度となるよう見直す必要が出てきました。
 このため、1)線引きするか否かを、原則として都道府県が判断する、2)市街化調整区域について、一定の要件を満たす区域を定め、住宅等の立地を可能にする(図2)、3)線引きしない都市計画区域内の用途地域が定められていない地域について、良好な環境確保に支障がある特定の用途の建築物等の建築を制限できることとする「特定用途制限地域」制度を創設する(図2)等の改正を行います。これにより、地域の実情に応じて必要かつ合理的な規制が柔軟に行いうるものと考えております。
 また、都市計画区域外においていわゆる建築・開発行為について、区域を定めて指定する「準都市計画区域」を創設します。モータリゼーションの進展や、生活・活動範囲の拡大等により、都市計画区域外において開発行為や建築行為が増加しています。特に、既存集落周辺や幹線道路の沿道等では、大規模な開発や建築が集積し、周辺での交通渋滞の発生、用途の無秩序な混在等の問題も発生しています。これらの問題に対処するため、現行都市計画制度において制度の適用対象外とされている都市計画区域外の区域において、市町村が、現に相当数の建築・開発行為が行われている区域等を対象として「準都市計画区域」を定め、土地利用を整序できるようにするものです。これにより、都市計画区域外においても用途の混在を防止し、景観の維持等を図ること等が可能となります(図2)。
 以上は、今次法改正の一部ですが、今回の改正により、地域が主体となって、地域の住民と一緒になって地域特性に応じたまちづくりを行いうるものとなります。まさに「新世紀のまちづくりは地域が主役」です。

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