第I部 人口の減少、少子高齢化の進展など人口構造の変化に対応した国土交通行政の展開 

(地方の若年層の地元定着化傾向)

 平成12年(2000年)の国勢調査によれば、過去5年間に地方圏の道県から他の都道府県に転出した人の割合は6.0%で、平成2年(1990年)の調査に比して0.8ポイント減少している。さらに、これを年齢階級別にみてみると、進学、就職に関係して転出の割合が最も高くなる20〜24歳代(5年前の15〜19歳代)において29.5%から23.4%へ6.1ポイントの大幅な減少を示しており、地方の若年層において地元の道県に定着する傾向が強まっていることがうかがえる。

 
図表I-2-1-9 地方圏における年齢別転出率の推移

過去5年間の間での地方圏における年齢別転出率の推移を平成2年と平成12年で比較してみると、5年前の15歳から19歳代にあたる、20歳から24歳代では、平成2年の転出率が29.5パーセントであったが、平成12年の転出率は23.4パーセントと6.1ポイントも低下している。
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 同じく国勢調査を用いて、地方圏における昭和30年(1955年)、昭和40年(1965年)、昭和50年(1975年)生まれの年代の人口が進学、就職等の節目と考えられる年齢時にどのように変化しているかを、10歳時の人口を100とする指数にしてみてみた。昭和30年生まれの年代では、中学卒業直後の15歳時に5ポイント減少した後、高校卒業後の20歳時にさらに30ポイント弱の大幅な減少を示し、大学卒業後に相当する25歳時に10ポイント弱回復するというパターンを示している。これに対し、昭和40年生まれの年代では、15歳時にはほとんど変化せず、20歳時に20ポイント程度減少し、25歳時には微増する傾向を示している。昭和50年生まれの年代では、変化のパターンは昭和40年生まれの年代とほとんど同様であるが、20歳時の減少は15ポイント程度まで縮小している。
 このように、昭和30年頃に生まれた世代では高校卒業後、大学進学又は就職により大都市圏への大規模な人口移動が起こり、その後大学卒業くらいの年齢時に一定規模のUターンが行われるというパターンを示すが、最近の世代では大学進学又は就職による地方圏から大都市圏への人口移動は大幅に減少し、地方圏に留まる若年者の割合が増加している傾向がうかがえる。

 
図表I-2-1-10 地方圏における年代別人口の推移(10歳時人口=100)

地方圏における1955年、1965年、1975年生まれの年代の5年おきの人口を、10歳時の人口を100とする指数にしてみてみた。1955年生まれの年代では、15歳時に5ポイント減少した後、20歳時にさらに30ポイント弱の大幅な減少を示し、25歳時に10ポイント弱回復している。1965年生まれの年代では、15歳時にはほとんど変化せず、20歳時に20ポイント程度減少し、25歳時には微増している。1975年生まれの年代では、変化のパターンは1965年生まれの年代とほとんど同様であるが、20歳時の減少は15ポイント程度となっている。
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 以上のように地方の若年層が地元に定着する傾向が強まっている背景としては、経済的な要因もあるものと思われるが、少子化に伴って、兄弟数が減少し、長男・長女の比率が上昇していることが強く影響しているものと考えられる。

 

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