第I部 地域の活力向上に資する国土交通行政の展開 

第7節 地域の条件整備に係る課題

 これまでの各節で見てきた課題のほか、地域の自立的な発展のための条件整備として次のような課題がある。

(地域の災害対策における課題)
 我が国は、その位置、地形、気象等の国土・自然条件から、地震、台風、集中豪雨等の自然災害に対し脆弱な国土となっており、地震対策や治山治水対策等の災害対策を実施することは、地域での生活を可能とする最も基本的な条件である。
 高齢化の進行に伴い、近年、自然災害によって高齢者が被災する事例が多発しているが、その大きな要因として、身体機能の低下等から迅速に避難できない場合が多いことが挙げられる。こうした問題を踏まえ、それぞれの地域において、防災情報のより一層の周知徹底や災害時における高齢者の支援体制の確立等のソフト対策を含む総合的な災害対策を進めることが求められる。

(地域における生活基盤の整備に係る課題)
 地域の暮らしを豊かなものとするためには、下水道や都市公園、生活道路等の身近な生活を支える各種インフラや住宅の質の向上が不可欠である。
 特に高齢化の進行の中で、公共交通機関、住宅、建築物、歩行空間、都市公園等を通じて、より一体的・総合的なバリアフリー化を推進していくことは、高齢者・障害者等を含むすべての人が暮らしやすい地域を実現していく上で重要である。

(条件不利地域における課題)
 我が国の人口が減少局面に入った中で、既に過疎が進んできていた地域の状況は厳しさを増している。平成17年国勢調査によると、5年前の前回調査時から人口が5%以上減少した市町村は654(全2217市町村(調査当時)の約3割)あるが、人口5,000人未満の小規模市町村で見ると、全361市町村(調査当時)のうち254市町村と約7割を占めており、これらのほとんどは、離島や半島部、都市から離れた山間部、豪雪地帯等、地理的・自然的条件の不利な地域に位置している。
 こうした条件不利地域については、国土保全の観点からの重要性にかんがみ、地域資源を最大限に活用しつつ、自然環境と生産基盤、生活環境の調和が図られた地域づくりを実現していくことが求められるが、そのためには、必要な基盤整備や生活交通の確保等の取組みを重点的に支援していくことが必要である。

 

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