第I部 地域の活力向上に資する国土交通行政の展開 

第3章 地域活性化に向けた国土交通施策の展開

【第3章のポイント】
 地域活性化策の展開に当たり、国土政策、社会資本整備、交通政策等の地域に密着した行政分野を幅広く担う国土交通省が果たすべき役割は大きい。既に平成18年11月には「国土交通省地域活性化戦略」を取りまとめており、その際の基本的認識に沿って、地域活性化に向けた国土交通施策の展開について提示する。

第1節 地域ブロックの自立的発展を可能とする国土構造への転換
○ 国土形成計画の策定の推進
○ 民間と連携した地域の発意による広域的な地域自立・活性化戦略の推進
○ 広域的な成長基盤インフラの整備

第2節 生活圏レベルでの自主的な地域づくりの総合的支援
○ 地域のにぎわいと活力の創出・都市再生の推進
○ 地域の活力を支える交通・物流施策の推進
○ 美しい地域づくりの推進
○ 少子高齢化社会に対応した地域づくり・住まいづくり
○ 地域住民等との協働による地域づくり

第3節 地域の交流人口拡大に向けた観光立国の推進
○ 魅力ある観光地づくり
○ 外国人観光客の訪日促進
○ ツーリズムの活性化

第4節 地域活性化のための条件整備
○ 災害に強い地域づくり
○ 生活基盤の充実
○ 条件不利地域の振興
○ 地域づくりの基礎条件の整備

 第2章では、人口減少・少子高齢化、経済のグローバル化が進展する中での東アジア地域の急速な経済成長といった大きな社会・経済構造の変化に伴う地域における課題について見てきた。
 こうした課題に向き合いながら、地域が独自の取組みを推進し、知恵と工夫にあふれた「魅力ある地域」の実現を目指していくことは、我が国全体の活力という観点からも極めて重要である。
 政府においては、平成19年2月に、様々な地域活性化策の全体像を「地域活性化政策体系」として取りまとめた。これは、いわば「地域力発掘支援新戦略」と呼ぶべきものであり、政府一体となって地域活性化の推進に取り組み、地域の「やる気」を支援していくこととしている。
 このような地域活性化策の展開に当たり、国土政策、社会資本整備、交通政策等の地域に密着した行政分野を幅広く担う国土交通省が果たすべき役割は大きい。
 国土交通省では、既に、平成18年11月に「国土交通省地域活性化戦略」を取りまとめており、その際の基本的認識は次のとおりである。
1) 国土交通省で策定作業を進めている新たな国土形成計画において、東京を頂点とする太平洋ベルト地帯に人口や諸機能が集中した一極一軸型の国土構造から地域ブロックの自立型の国土構造への転換を図ることとしており、地域の活性化の推進に当たっては、地域ブロックの自立・発展に向けて、民間プロジェクトを中心としたブロックの地域戦略を総合的に支援していくとともに、知恵と工夫の競争のための基盤も整備していくことが必要である。
2) あわせて、地域ブロック内では、固有の文化・伝統・自然条件等に根ざした多様な地域特性を発揮し魅力あふれる生活圏を形成することを目指し、生活圏、草の根レベルにおける民の発意等に基づく独自の地域資源を活用した取組みを支援していくことが必要である。
3) また、経済成長著しいアジア地域の旅行需要を取り込み、国際交流の拡大を図るなど、観光立国を推進していくことは、交流人口の増加、産業や雇用の創出等を通じて地域活性化に大きく寄与するものである。
4) このほか、災害に強い安全・安心な国土づくり、生活基盤の充実による暮らしやすい地域の実現、離島・半島・豪雪地帯等における地理的・自然的条件等による不利性を是正する観点からの取組み等は、地域の自立的な発展のための条件整備として、地域活性化を推進する上での大前提である。
 国土交通省においては、このような基本的認識の下、関係する施策を総動員して、地域の活性化に向けて取り組んでいくこととしている。
 そこで、本章では、第2章で見てきた課題を踏まえつつ、地域活性化に向けた国土交通施策の展開について具体的に提示していく。

 

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