第II部 国土交通行政の動向 

第6節 海洋・沿岸域政策の推進

 我が国は、四方を海に囲まれた「海洋国家」であるが、我が国の海洋・沿岸域を巡っては、海上輸送の安定化・活性化、海上交通の安全の確保、不審船や密輸・密航等の保安対策の強化、海上災害や海洋汚染の防止、海岸等における防災対策の強化等の課題や、沿岸域や閉鎖性水域を中心とした海岸侵食や砂浜等の消失、埋立等による藻場や干潟の減少、漂流・漂着ゴミの増大、赤潮や青潮(注)の発生といった問題が山積している。海洋・沿岸域を巡る様々な課題や問題は、それぞれが独立して存在するのではなく、相互に関係がある場合が多いことから、関連する施策を総合的に進めていく必要がある。
 このような観点から、海洋・沿岸域に関する多くの行政分野を所管する国土交通省として、平成18年6月に「国土交通省海洋・沿岸域政策大綱」を取りまとめた。同大綱に基づき、同年7月に「国土交通省海洋・沿岸域政策推進本部」を設置し、国土交通省の海洋・沿岸域に関する施策を、総合的かつ戦略的に推進している。
 
図表II-1-6-1 国土交通省海洋・沿岸域政策大綱の概要

「国土交通省海洋・沿岸域政策大綱」では、8の基本的方向を掲げ、そのもとに95の具体的な取組みを提示している。8の基本的方向とは、(1)海上における安全を確保する、(2)国土の保全と防災対策を推進する、(3)環境の保護及び保全を推進する、(4)自然環境や美しい景観を取り戻す、(5)海洋・沿岸域の利用を推進する、(6)海洋・沿岸域への親しみ、理解を増進する、(7)海洋・沿岸域の総合的管理を推進する、(8)国際社会との協調及び協力関係を確立する、である。また、大綱の施策を推進していくため、国土交通省内に「国土交通省海洋・沿岸域政策推進本部」を設置し、総合的かつ戦略的に施策を展開している。


(注)海底に堆積した植物プランクトンの死骸等が分解される時に大量の酸素が消費され、極端に酸素不足となった海水が風等で海面付近へ浮上した際に海水が青白く見える現象

 

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