第II部 国土交通行政の動向 

(2)大都市圏における環状道路の整備

 環状道路は、都心部に集中する交通を分散させ、都心に起終点を持たない交通を迂回させるなど、都市圏の交通混雑を緩和する機能を持つが、我が国の整備水準は未だ低く、環状道路としての機能が十分に発揮されているとは言い難い。
 
図表II-3-3-3 各国主要都市圏の環状道路の比較

各国主要都市圏における環状道路の計画延長、供用延長、整備率をそれぞれ比較すると、日本の首都圏では521キロメートル、180キロメートル、35%、パリでは313キロメートル、262キロメートル、84%、ロンドンでは188キロメートル、188キロメートル、100%、ベルリンでは222キロメートル、216キロメートル、97%となっている。

 このため、例えば、首都圏においては、平成20年代半ばまでに首都圏3環状道路(首都高速中央環状線、東京外かく環状道路、首都圏中央連絡自動車道)の全体の約9割を完成させるよう整備を進めている。
 
図表II-3-3-4 東京外かく環状道路

東京がいかく環状道路は、都心から約15キロメートルの圏域を環状に連絡する約85キロメートルの道路であり、現在までに約34キロメートルが供用されている。昭和45年10月に計画が凍結された区間(関越どうから東名高速)については、計画の構想段階から住民参画(P I)を導入することにより幅広く意見を聴き、計画策定の透明性、客観性、公平さを保つための第三者機関として、平成13年12月に東京環状道路有識者委員会(以下「委員会」という。)を設置し、14年 11月には同委員会で取りまとめた「最終提言」を受けて、15年3月、国土交通大臣と東京都知事が「今後の方針」を発表した。 また、沿線住民の方々を始めとした関係者との意見交換等を行うためP Iがいかん沿線協議会(全42回)及びP Iがいかん沿線会議(全13回)を開催し、平成16年10月に「2年間のとりまとめ」を公表した。17年9月には、これまでの検討を踏まえ、計画の具体化に向けた考え方を、17年10月には現段階での計画概念図を公表し、18年6月には、都市計画変更案及び環境影響評価準備書の公告縦覧を行った。今後とも住民や関係自治体の意見を聴きながら、東京がいかく環状道路の具体的な計画やこれを踏まえた周辺への影響、必要な対策等について引き続き検討を実施する。

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む