第II部 国土交通行政の動向 

(2)下水道施設の機能の高度化と維持管理の充実

1)機能の高度化
 老朽化した下水道施設の増加に伴い、下水管の破損に起因する道路陥没等も増加している。今後は、老朽化した下水道施設の健全度を把握し、予防保全やライフサイクルコスト(生涯費用)の視点から改築・更新を推進する必要がある。施設の更新に際しては、耐震対策を始め、健全な水循環や資源循環を目指し、高度処理の導入や合流式下水道の改善等、機能の高度化を一体的に推進している。

2)下水道経営の健全化に向けた取組み
 下水道の経営においては、汚水処理費を使用料収入で賄うことが原則とされているが、実際の回収割合は全国で6割程度にとどまっている。特に中小市町村では、大都市と比較してスケールメリットが働きにくい等の構造的な特性から、安定した経営の確保が難しい状況にある。
 このような状況の中、中小市町村等で構成される下水道管理経営検討会において、事業の各段階における経営・管理に関する実態の把握と課題を抽出し、下水道経営の健全化に向けた具体的な解決策について検討を行っている。

3)効率的な民間委託の促進
 維持管理業務についての包括的民間委託(注1)を推進するため、平成16年と17年に実施上の留意点等を都道府県等に通知しており、18年度には50団体が包括的民間委託を実施している。また、指定管理者制度(注2)については、18年度には13団体が実施している。

4)国際標準化機構(ISO)規格の取組状況
 平成19年秋には、「飲料水及び下水に関するサービス活動」についてのISO規格が発行されるため、我が国では、日本の特徴を踏まえた下水道のPI(業務指標)の見直しを行っている。


(注1)施設管理について一定の性能の確保を条件として課しつつ、運転方法等の詳細については民間事業者に任せることにより、民間事業者の創意工夫を反映し、業務の効率化を図る発注方式
(注2)地方公共団体が指定する法人その他の団体に、公の施設の管理を行わせることができる制度

 

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