第2節 時代に合った構造的な地域づくり

コラム 広域ネットワーク等を背景とした地域の活力・魅力向上の例

 道路、鉄道などの広域的なネットワーク等を背景に、ヒト、モノ等の流れが生じ、地域の活力や魅力の向上につながっていると考えられる事例を紹介します。

(日本海沿岸東北自動車道への企業進出)
 (株)新潟ジャムコは、航空機の化粧室(ラバトリー)の世界シェアの約5割、厨房施設(ギャレー)の世界シェアの約2割を占める、世界トップレベルの航空機内装品製造メーカーです。
 日本海沿岸東北自動車道(日沿道)の道路整備を見越して、新潟県村上市に進出し、道路ネットワーク(日沿道)や港湾を活かして「部品調達」→「組み立て」→「製品輸送」の効率化を行い、事業規模を順次拡大しています。
 併せて、好調な業績、今後の需要見通しを踏まえ、地元から大量雇用を行い、高卒の求人倍率が県平均より高い水準で推移するなど地域における雇用創出にも貢献しています。
 このように、道路ネットワークの整備等を背景に、高速道路の沿道に世界的企業が進出してモノ、カネ等の流れが生じ、事業規模の拡大や地元雇用など地域の活力に寄与しているものと考えられます。
 
図表2-2-53 道路ネットワークを活かした生産活動
図表2-2-53 道路ネットワークを活かした生産活動

 
図表2-2-54 (株)新潟ジャムコの生産工場
図表2-2-54 (株)新潟ジャムコの生産工場

 
図表2-2-55 (株)新潟ジャムコ進出による地域雇用への影響
図表2-2-55 (株)新潟ジャムコ進出による地域雇用への影響
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(北陸新幹線沿線における企業立地)
 YKK(株)/YKK AP(株)は、人事、経理、国際部門等管理部門の本社機能の一部(社員数約230名)を富山県黒部市(北陸新幹線の黒部宇奈月温泉駅周辺)に順次移転しています。
 移転の背景としては、1)YKKグループの“技術の総本山”であり、ものづくりの本拠地である黒部にも本社機能を置くことで、技術力、商品力を更に高めていくこと、2)北陸新幹線開業により東京まで約2時間30分で結ばれること、3)震災等に備え本社機能が東京に一極集中していることについての危惧等が挙げられます。
 黒部における自然環境を活かしたローエネルギーのまちづくり・住まいづくりについても取り組んでおり、具体的には、社宅跡地を利用し良好な環境を備えた「パッシブタウン黒部モデル」(賃貸住宅と商業施設、保育所等)を整備予定です。賃貸住宅は、地域貢献として、社員・家族以外も受入予定であり、YKK AP(株)の建材技術等を活かした環境住宅のショーケースとしても期待されています。
 このように、本社機能の一部移転に伴い、ヒト、モノ等の流れが生じ、雇用、住環境等地域の魅力の向上にもつながることが期待されます。
 
図表2-2-56 「パッシブタウン黒部モデル」のイメージ
図表2-2-56 「パッシブタウン黒部モデル」のイメージ

 
図表2-2-57 YKK(株)の本社機能移転予定地(YKK50ビル)
図表2-2-57 YKK(株)の本社機能移転予定地(YKK50ビル)


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