第3節 我が国における新たな兆し

コラム 異世代ホームシェア

 高齢者と若者が同居する「異世代ホームシェア」が注目を集めています。「異世代ホームシェア」とは、子供の独立等で、空き部屋がある高齢者の住宅に、若者が同居し、共同生活を送る住まい方です。共同生活の中で、若者が高齢者の生活を手伝うことはありますが、介護ではなく、食事はそれぞれが準備する等、両者が合意したルールを持ち、適当な距離感を保ち生活しています。
 若者にとっては、安価な質の高い住宅を確保することができるため、経済的なメリットがあげられます。また、それだけではなく、進学等により新しい土地に移り住んできた若者にとっては、共同生活の場が居場所となり、人生の先輩からの学びの機会にもなっています。一方、高齢者にとっては、孤立を解消し生活への安心感を持つことができるという大きなメリットがあるとともに、若者が話し相手となることで、新しい刺激にもなります。
 NPO法人リブ&リブでは、同居することによって、高齢者と大学生との間に、新しく生まれる「血縁をこえた絆を作る」ことを目的として、両者を結びつけるコーディネートをしています。同居者は、昼間はそれぞれ自由に行動し、夕方〜夜の時間帯を出来るだけ一緒に過ごすなど、コミュニケーションを取っています。同法人のサポートは両者を結びつけて終わりではなく、同居後も専門コーディネーターが毎月、高齢者と若者両方の相談相手となり、お互いが楽しく支え合って生活するための潤滑油となっています。同取組みを利用している高齢者からは、「新しい考えや価値観を知ることができて、毎日楽しい」という声があるほか、「同居する学生が火の消し忘れに気が付いてくれたことがあり、生活上の安全・安心を感じた」という感想がありました。同居する学生も「自分の存在に喜んでくれる人がいる」と生活の充実を感じています。
 単身高齢者の孤独が社会的な問題となる中、高齢者と若者が同居し、互いの居場所をつくる「異世代ホームシェア」は新しい住まい方といえます。
 
図表1-3-11 異世代ホームシェア
図表1-3-11 異世代ホームシェア


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