第2節 楽しみ方に関する取組み

■1 楽しみの多様化、深化に対応する取組み

(観光の魅力の向上)
■観光資源の開拓・魅力の向上
 全国各地には、豊富で多様な観光資源が多数存在しており、これらを開拓し、その魅力を向上させることは、旅行者にとっては、より魅力的な旅行を楽しめるとともに、各地域にとっては旅行者の地方への誘客により、新たな需要が創出されること等の効果が期待される。
 観光庁では、地域の名産品の開発、酒蔵等特定の観光資源により観光振興を図る地域のネットワーク化、それらのPR活動等を支援している。また、博物館の夜間開館等によるナイトタイムの利用といった、観光資源の有効活用に関する検討も進めている。このような取組みは外国人旅行者のみならず、日本人にとっても「楽しみ方」を充実させるものとして期待されるところである(図表3-2-1、図表3-2-2)。
 
図表3-2-1 西条酒蔵通りの取組み(広島県東広島市)
図表3-2-1 西条酒蔵通りの取組み(広島県東広島市)

 
図表3-2-2 ナイトタイムエコノミーの活用事例
図表3-2-2 ナイトタイムエコノミーの活用事例

■島風構想
 離島では、地域の実情に応じてホビーツーリズム、島外の子どもが島で暮らす離島留学、サテライトオフィス・テレワークセンターの提供等の島外の人を島に呼び込むための様々な取組みが行われている。
 国土交通省では、離島を網羅的に紹介する初のポータルサイトの構築や、若者・外国人等に伝わるメディア(SNS等)による情報発信を通じ、離島の魅力を都市部等に発信(島からの風)し、都市部等からの交流人口等を創出する(島への新しい風)取組みである「島風構想」を推進することとしている(図表3-2-3)。
 
図表3-2-3 島風構想イメージ
図表3-2-3 島風構想イメージ

■インフラツーリズムの推進
 インフラツーリズムとは、インフラを地域固有の財産・観光資源として活用し、地域の活性化につなげようとする取組みであり、さらに、インフラ整備・維持管理の理解促進にも貢献することが期待されている。
 国土交通省では、各地方整備局等において現場見学会の企画や民間旅行会社とのタイアップ等を行うとともに、「インフラツーリズムポータルサイト」を開設し、ツアーや見学会などの紹介等、情報発信を随時行っている(図表3-2-4)。
 
図表3-2-4 インフラツーリズムの一例
図表3-2-4 インフラツーリズムの一例

■観光地域づくりの支援
 訪日外国人旅行者をはじめ、観光客が、各地域を周遊することを促進するため、地域の関係者が連携して、観光客の来訪・滞在促進を図ることが必要である。
 観光庁では、観光地域づくりの舵取り役として、様々な関係者と協同しながら戦略を策定するとともに、その戦略を実施するための調整機能を備えた法人である「日本版DMO」という制度を創設した。その上で、DMOが、事業者等地域の関係者とともに、観光地域づくりの計画を作成した際に地域資源の魅力を活かした滞在プログラムの造成、商談会の開催等に対する支援等を行うこととしている(図表3-2-5)。
 
図表3-2-5 日本版DMO
図表3-2-5 日本版DMO

■健全な民泊サービスの普及
 ここ数年、いわゆる「民泊サービス」が我が国でも急速に普及している。また急増する訪日外国人観光客や国内旅行における宿泊需要の多様化に対応するため、民泊サービスの活用を図ることが重要となっている。一方、当該サービスの活用に当たっては、公衆衛生の確保や地域住民等とのトラブル防止等に留意したルールづくりが急務となっている。
 このような中、国土交通省では、2017年に成立した「住宅宿泊事業法」に基づき、健全な民泊サービスの普及を図ることとしている(図表3-2-6)。
 
図表3-2-6 住宅宿泊事業法の概要
図表3-2-6 住宅宿泊事業法の概要


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