第2節 総合的・一体的な物流施策の推進

コラム 宅配便の再配達削減に向けた取り組みについて

 ライフスタイルの多様化等により通信販売の利用が年々伸びており、経済産業省の調査によると、市場規模は平成28年には15.1兆円に達し、この5年間で約1.8倍の規模に拡大しています。これに伴い、宅配便の取り扱い個数も年々増加しており、24年度では約35億個であったものが、28年度には40億個を超えるまでになっています。一方、商品を実際に届ける「配送」を支えるトラックドライバー不足は深刻化しており、高齢化も進んでいます。
 このような状況の中、再配達の取り扱い個数は約15.5%にのぼっています。国土交通省が27年に試算した結果によると、この再配達に費やされている時間は年間で1.8億時間にものぼり、これを労働力に換算すると、年間約9万人のドライバーの労働力に相当します。ドライバー不足が顕在化する中で持続可能な宅配便サービスを着実に確保するためには、再配達削減が急務となっています。また、この再配達によって排出されるCO2は年間およそ42万トンと試算されており、環境負荷の面からも対応を考えなくてはなりません。
 国土交通省はこの問題に対応するため、政府広報や、環境省及び経済産業省と連携した「COOL CHOICEできるだけ1回で受け取りませんかキャンペーン〜みんなで宅配便再配達防止に取り組むプロジェクト〜」等を通して、スマートフォンから簡単に受け取り日時などの変更ができるアプリの活用等を呼びかけました。また、受け取り方法の更なる多様化・利便性向上等の新たな取組みの促進として、宅配事業者の窓口やコンビニでの受け取りのほか、環境省と連携して、駅やコンビニなどの公共スペースに設置し、複数の宅配事業者かつ誰もが利用可能な「オープン型宅配ボックス」の設置に対する支援等を行っているところです。
 
オープン型宅配ボックス

 国土交通省では、利便性の高い宅配便サービスの持続性の確保および一層の利便性の向上などの観点から、宅配便の再配達削減に向け、宅配事業者等の関係者と連携して各種政策や情報発信を引き続き行って参ります。


テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む