平成2年度 運輸白書

はじめに 

はじめに


 我が国経済は、1986年11月を谷として長期にわたって景気拡大を続けており、1960年代後半の戦後最長期間の「いざなぎ景気」に迫る勢いである。しかし、我が国の労働力人口は、1990年代半ば以降その伸びが鈍化することが見込まれ、また、21世紀初頭には、人口の高齢化等に伴って貯蓄率が低下することが予想される。したがって、1990年代は、高い貯蓄率に支えられ、社会資本ストックを形成するための貴重な期間である。
 これらを踏まえると、1990年代を迎えるにあたって、過去の運輸関係社会資本の整備の状況を振り返るとともに、21世紀に向けて、この10年間の運輸における物的基盤としての運輸関係社会資本整備の基本的課題を明らかにしておくことは、重要な意義があると考えられる。
 また、運輸産業においては、現在、物流関係の業種を中心に労働力不足が深刻化しており、特に、若年労働力の確保は非常に困難となっている。そこで、予測される高齢化の進行に対応して安定的な輸送力を確保するため、人的基盤としての労働力の確保についても考えていくこととする。