(イ)輸送機関別の輸送動向


 (減少傾向を続けた鉄道貨物)
 JRのコンテナ貨物は、7年度は6年度と異なり渇水を伴わない猛暑であったため飲料水の出荷は少なかったが、6年度の震災の影響の反動や、車扱であった繊維、化学工業品のコンテナ化の進行により、トン数で5.4%増、トンキロで6.9%増となった。車扱貨物は、コンテナ化の進行に加え、セメント、石灰石などの一部荷主の減産体制移行に伴う輸送規模の縮小,石油ピギーバックの撤退などにより、トン数で7.1%減、トンキロで10.1%減となった。このためトン数、トンキロともに4年連続の減少を続けていた鉄道全体による輸送量は、7年度は各々2.6%減、2.5%増と、トンキロ増加の動きを示したが、震災による影響を除く対前々年度との比較では各々2.9%減、1.3%減となり、減少傾向は依然として続いている>〔2−1−16図〕、 〔2−1−17図〕

 

 

 (営業用は増加傾向を強め、自家用は横ばいを続けた自動車貨物)
 自動車による貨物輸送は、国内需要の回復を反映して、トン数で2.6%増、トンキロで3.9%増となった〔2−1−18図〕

 

 営業用・自家用別にみると、営業用自動車の輸送量は、パソコンなどの電気製品や通信販売品を含む宅配便貨物が堅調であった。また、7年度の猛暑は渇水を伴なわなかったため、飲料水の出荷は減ったものの、夏場の水もの(酒・ビール、清涼飲料水等)、白もの(冷蔵庫、エアコン等)は好調であった。加えて公共投資関連、震災復旧関連等の建設資材の輸送量の増加などもあり、トン数では4.2%増、トンキロでは5.2%増といずれも堅調であった。これに対し、自家用自動車の輸送量は、一部の建設関連貨物が伸び悩んでいることなどにより、トン数で1.4%増、トンキロで0.0%増となり、概ね横ばいとなった。

 (わずかながら減少となった内航海運貨物)
 内航海運の貨物輸送量は、トン数では1.3%減、トンキロでは0.1%減とわずかながら減少となった。
 これを貨物船、油送船別にみると、貨物船は、セメント、鉄鋼等が年度後半に持ち直し、輸送量は増加した。油送船は、6年度は、夏場の猛暑による冷房用の電力需要の増大に加え、渇水による水力発電の不振もあり、火力発電用の重油輸送が急激に増大したが、7年度は、猛暑ながら渇水もなく、水力発電が好調であったことなどから、重油輸送は減少した。また、物流コスト削減を図るため、荷主が提携して製品供給体制の見直しを行う動きも見られ、これが輸送量減少の一因ともなっている〔2−1−19図〕

 

 (3年連続増加で好調な国内航空貨物)
 7年度の国内航空貨物輸送量は、民間消費が緩やかな回復傾向を続けるなかで、生鮮貨物、航空宅配貨物や通信機器関連、一部の貴重品貨物等が好調に推移したことに加え、海外進出日系企業などからの製品・半製品の輸入貨物の国内転送が依然として好調であることなどから、トン数で5.4%増、トンキロで6.0%増と、ともに3年連続で増加し、堅調な伸びを示した〔2−1−20図〕