1 復興への取り組みの基本的考え方


 平成7年1月17日、淡路島北部を震源とするマグニチュード7.2の直下型大地震が発生し、阪神・淡路地域は壊滅的な打撃を被った。
 阪神・淡路地域は、関西圏はもとより我が国の政治、経済、文化の中心の一つとして、その発展に大きく寄与してきた地域であり、東西交通の大動脈の要衝として重要な地域である。
 特に神戸は、国際貿易を支える我が国屈指の港湾都市であるとともに、有数の国際観光都市でもあることから、この地域の1日も早い復興、発展は我が国の将来にとっても極めて重要な課題である。
 政府は、震災の被害を受けた阪神・淡路地域の早期の復旧・復興を図るため、7年2月に内閣総理大臣を本部長とする阪神・淡路復興対策本部を設置し、7年4月に「阪神・淡路地域の復旧・復興に向けての考え方と当面講ずべき施策」が、7年7月には「阪神・淡路地域の復興に向けての取組方針」が決定され、阪神・淡路地域の復旧・復興を着実に進めることとされた。
 運輸省としても、これらの決定に沿って、鉄道・港湾及び観光の復旧・復興に全力を注ぐこととし、鉄道・港湾施設の整備、耐震性の強化等の復興特別事業を中心として、7年度、8年度予算において様々な復旧・復興の支援措置を講じた。その結果、鉄道は、7年8月に全線復旧し、港湾は8年度中に概ね復旧する見通しとなっている。
 また、モーターボート競走関係者が特別競走の実施により、7年度の51億円に引き続き、8年度も20億円を目標とする「震災復興支援資金」を確保し、神戸港地区や被災地域の交通網の確保、被災住民の生活向上や地域経済の復興に役立つ事業等に活用することとなっている。
 なお、神戸港を含め、我が国の港湾の国際競争力のさらなる強化を図る観点から、関係省庁と協力して、入港手続きの簡素化、情報化に取り組んでいる。