1 物流拠点の整備


 貨物駅、倉庫、上屋、トラックターミナル等の物流拠点は、貨物の保管、積卸し、荷捌き等物流活動の円滑化のための様々な活動が行われる物流の結節点であり、その整備のあり方が、物流システム全体の効率化やサービス水準に大きな影響を及ぼす。特に近年では、内陸部を中心に物流ニーズの高度化、多様化に対応して、保管、荷捌き、流通加工機能、高度情報処理機能等様々な機能を併せ持った物流拠点の整備が求められている。また、物流コストのより一層の低減、輸入拡大と製品輸入の急増に対応し、流通の効率化を重視して自動化・情報化を進めながら流通加工等の機能の集約を行う流通システム効率化を促進する物流施設や、輸入拡大に対応する物流施設等の整備が求められている。
 このため、港湾、空港といった基本インフラの整備を着実に進めるとともに、倉庫、トラックターミナル等民間事業者により整備される物流拠点についても、税制上の優遇措置、日本開発銀行等による融資等の種々の支援措置により整備を促進している。
 このほか、「民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法」に基づく税制や金融の優遇措置等によって、民間事業者による特定施設の整備を促進している。また、「流通業務市街地の整備に関する法律」に基づく税制や金融の優遇措置等を活用して、都市周辺における流通業務市街地の整備を促進している。
 さらに、民間事業者による公共的な物流拠点の整備については、初期投資が莫大であるうえに投下資本の回収に時間がかかることから、なかなか整備が進まない面が見られる。特に都市部においては、用地取得の困難性から物流拠点の絶対数の不足、既存施設の老朽化等の問題が生じ、拠点整備の一層の促進が必要になっている。
 こうした状況を受けて、8年6月に運輸政策審議会物流部会において、物流拠点の整備のあり方について、整備が必要とされる物流拠点の典型像、投資促進方策の充実、関係省庁・地方公共団体との連携、パブリック・アクセプタンスの高い物流拠点の整備の必要性、情報化・標準化の推進等についてのとりまとめがなされた。運輸省では、これらの実現に向け、上記の税制や金融の優遇措置のほか、物流拠点整備の指針の策定等の諸施策を講じていく。