(2) 物流・産業構造の変化に対応した臨海部空間の形成


 近年、我が国の輸入の増大は製品を中心に著しく、7年に全国の港湾で取り扱われた輸入コンテナ貨物量は、初めて8千万トンを越え前年に引き続き2年連続で輸出量を上回った。こうした輸入貨物の増大に対応するため、輸入促進地域(FAZ)などで、製品・食品等の保管、荷捌き、流通加工を効率的に行うための総合輸入ターミナル等、物流施設の整備を進める必要があり、運輸省ではこれらの整備を民活法等により支援している。
 8年には、松山港、四日市港、北九州港、横浜港及び大分港において、総合輸入ターミナルの供用が開始した。また、現在川崎港及び境港において整備が進められている。
 これらの施設整備は、アジア諸国をはじめとした世界と我が国の各地域が直接交流していく新しい時代の物流拠点を形成し、地域の活性化や一雇用の拡大に貢献している。更には、国際展示施設や国際会議場等の整備により、一般の人々も来訪する国際的な交流空間としても期待されている。
 また、港湾を中心とした臨海部は、物流、国民生活、産業等多様な活動を支えてきた空間であるが、近年、産業構造の変化や荷役形態の変化、施設の老朽化等により、利用の低下している地区も一部に見られ、質の高い空間への再構築が期待されている。
 運輸省では、従来より、機能の低下したインナーハーバー(内港地区)のふ頭機能の再配置や交流拠点としての再生など、港湾の再開発を推進してきたところであるが、今後一層港湾空間の面的・総合的な再編整備を推進するため、港湾整備事業や民活事業等により支援を行うこととしている。