(3) エコポートの形成、廃棄物への対応


 将来の人々に対し豊かな港湾環境を継承し、持続可能な発展を確保するために、生物、生態系に配慮し、自然環境と共生した、アメニティ豊かな、環境への負荷の少ない港湾「環境と共生する港湾(エコポート)」の形成を、今後の港湾環境整備の目標に置いている。この実現に向け、各地で港湾環境計画の策定やエコポートモデル事業への取り組みを行っている。
 港湾環境計画は、港湾管理者が港湾整備にあたり、その計画、設計、建設、利用の各段階で行う環境施策や配慮を総合的、計画的にとりまとめ、広く一般に公表するもので、7年11月に、愛知県三河港、沖縄県中城湾港において策定された。
 エコポートモデル事業は、エコポートの形成を促進する観点から全国の模範的な整備事例となる港湾を対象に、環境の保全や創造のための施設の総合的な整備を重点的に行うもので、これまでに横浜港(新港地区)等6港が指定されている〔2−8−18表〕

 

 また、8年度から岩手県大船渡港で水質浄化施設(エアレーション)の整備が実施されている。
 一方、都市活動に伴い発生する廃棄物の処分については、内陸における処分地の確保が困難なことから、海面処分への要請が高い。このうち東京湾、大阪湾など背後に大都市圏が存在する地域では、一般廃棄物の海面処分の割合は5割を越えている状況にある〔2−8−19図〕。このため処分する廃棄物や浚渫土砂、建設発生土等について、減量化、再利用の拡大、内陸処分の促進を前提に、今後とも、廃棄物海面処分場を計画的に確保する。8年度においては東京港等40港及び大阪湾において約6kmの廃棄物埋立護岸を整備し、9次五箇年計画内では総延長75kmの廃棄物埋立護岸を整備する。このうち大阪湾においては、広域臨海環境整備センター法に基づく事業(フェニックス事業)として尼崎西宮芦屋港及び堺泉北港において引き続き廃棄物海面処分場の整備を行う。さらに、今後の廃棄物の海面処分需要に適切に対応するため、同法に基づき新たな海面処分場の確保等を内容とした基本計画の変更に向けた取組みが行われている。

 

 また、首都圏においては、処分に苦慮している建設発生土を、港湾整備等のための埋立で必要とする地域に供給し、首都圏における廃棄物処分量の減量化と資源の有効活用を図るスーパーフェニックスを推進する。8年度は石巻港、三河港、広島港、高知港において受入れが行われる。