1 需給調整規制廃止に向けて必要となる環境整備方策等について
運輸省は平成8年12月、交通運輸の分野における需給調整規制を目標期限を定めて廃止することとした。そこで、9年4月に「交通運輸における需給調整規制廃止に向けて必要となる環境整備方策等について」の諮問が運輸政策審議会に対して行われた。旅客鉄道分野については、需給調整規制廃止後の事業制度のあり方及び事業の活性化に向けて、鉄道部会において審議を行い、10年6月15日、運輸大臣に答申された。概要は以下の通りである。
旅客鉄道事業の効率化、活性化の観点から事業者の自主性・主体的経営判断を尊重することが重要となっている。
一方で、旅客鉄道事業は
(1) 地域住民の足として定着し、また、代替性に乏しい場合がある。
(2) 投資コストが莫大であり、事業の修正が効きにくい。
(3) 利用者にとって鉄道輸送サービスの選択性に乏しい。
(4) 万一事故が起こった場合の被害が甚大である。
という特性を有しており、利用者の保護の観点から利用者利便・安全を確保する必要がある。
そこで、旅客鉄道事業の参入、退出等に関して、利用者利便・安全を確保するため行政が必要最小限の関与を行うべく事業制度のあり方を組み立てることが適当である。その際、ルールの明確化やルール適用にあたっての透明性確保への配慮も必要である。
さらに、鉄道整備の円滑化に向けてその方策を検討し、鉄道整備に対するニーズに対して事業者が適切に応えることが可能な環境整備を行う必要がある。