2 自動車の生産および流通


(1) 自動車生産の現状

昭和38年度の国産自動車の生産は,旺盛な需要のもとに前年に引き続き増加を続け,約150万台(軽4輪車以上)をこえるに至つた。
  車種別にみると 〔I−(II)−6表〕のとおり,乗用車が最も著しい伸長で44万台をこえ,とくに小型乗用車は自家用車の需要増加と相つぐ新型車の発表による充実もあつて対前年比54.8%増を示し,高級大型車も3000台に達し,ようやく日本の自動車工業も乗用車時代に移る傾向にある。性能,居住性の面でややものたりない面のある軽自動車も経済性から順調に約8万台が生産された。
  トラックは約105万台生産され,1トン積以下の小型車と7トン積以上の大型車の増加が目立ち,6トンクラス車は漸減の傾向を見せた。機動性の良い3輪車は居住性及び安定性のよい4輪車の進出に押され,19.6%の減産であつた。
  ジーゼル化が進み,2トンクラスの小型ジーゼル車は3万台近く生産さ札普通車のガソリン車は36年度を頂点に漸減しつつある。
  バスは堅実な需要のもとに1万3000台(小型車を含む。)を生産し,小集団用のマイクロバスの進出が目立つた。

(2) 自動車の流通

  昭和39年3月31日現在,自動車販売店は全国で2047あり,うち普通,小型4輪ディーラーは663,軽2・3輪ディーラーは,1384である。このほか2・3輪自動車の販売代理店が多数存在するが,その数は6000程度とみられる。
  自動車の販売網の特徴はほとんど各メーカーの系列になつていることである。戦後自動車の生産が再開され,主要メーカーの販売網が形成されたときは,各メーカー別,1店1府県又は近接府県を含む広域テリトリー制で出発したが,需要の増大,車種の増加にしたがつて現在のごとき車種別,地域別(4輪車の場合原則として1府県を1販売会社が受持つ。)販売店制(クローズドテリトリー)の姿になつた。その後いつそうの需要の増大,販売車種の増加に伴い,現在大都市を中心とした複数販売店制の採用,テリトリーの細分化等がみられ,販売網は更にち密なものになりつつある。
  昭和38年において,国内で小型4輪自動車以上で約78万台の自動車が販売ざれたが,その70%以上が割賦販売によるものである。自動車は商品として耐久性,高価性,物件確認の可能性などの特性を有し,割賦販売に適するので,今後も所得水準,消費水準の向上とともに自動車の販売が増加するにつれて,割賦販売も増大するものとみられるが,割賦販売の健全な発展のためには,今後販売資金の確保,適性な販売条件の確立および統一などが必要である。


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