3 国産機の動向


  国産機を大別すると,わが国独自の設計によるものと,外国航空機メーカーとの技術提携によって製造されるものとに分けられる。
  前者は,YS-11,MU-2B,FA-200等の飛行機であり,後者はベル47シリーズ,KV-107,ベル204B等のヘリコプターである。
  YS-11は,42年11月に49号機までの引渡しを完了し,50号機以降は,有効塔載量を1トン増加したYS-11Aとして製造され,43年1月25日には,航空局より,また4月3日には,米国連邦航空庁より型式証明(航空機がその強度,構造および性能について,安全性を確保するための技術上の基準に適合すると認められたことをいう。)を取得した。現在,A型は10機が米国ピードモント航空へ引渡されており,さらに,ブラジル,琉球,カナダなどへ続々輸出がすすめられている。一方,国内でも全日本空輸(株),日本国内航空(株),東亜航空(株),運輸省,防衛庁などへ納入がすすめられている。これらの需要にこたえるため,日本航空機製造(株)は,43年9月からは,月産ベースを3・5機にしている。
  三菱重工(株)で生産されているMU-2B型機は,40年9月に型式証明を取得して以来,数次にわたる設計変更についても承認をうけ,現在4種類のモデルを月産4機のペースで生産している。国内には,民間に1機,防衛庁に数機納入されているが,海外向には北米へ43年8月末現在で57機が輸出されているほか,オーストラリヤヘ1機,欧州へ5機輸出されている。なお,MU-2B型の胴体を延長して客室を広くしたMU-2G型が試作中である。
  富士重工(株)で生産しているFA-200は,41年3月に型式証明を取得した軽飛行機で,曲技飛行が可能なのでスポーツ機にも適している。この機体は,原型機のほか馬力を向上させた型式(FA-200-180)の2種類のモデルがあり,現在までに12機生産され2機がオーストラリヤへ輸出されている。
  本格的量産は43年秋から軌道に乗るが,オーストラリヤ等から多数の引合いがあり,今後の輸出が期待される。
  伊藤忠航空整備(株)で6機生産されたN-62型機は,主として飛行クラブでスポーツ機として使用されている。
  川崎航空機工業(株)が米国ボーイング社とライセンス契約で生産しているKV-107-II型は,42年度末までに29機が生産されたが内11機が民間用で,そのうちの7機がタイ国および米国へ輸出された。最近,発動機の馬力を向上したKV-107-IIA型の型式証明がなされた。
  川崎航空機工業(株)が米国ベル社とライセンス契約で生産している川崎ベル47シリーズ型は,42年度末までに354機が生産され,43年度中に32機が生産される予定である。既生産機のうち,105機が防衛庁用,215機が国内民間用,34機が輸出用であつた。
  富士重工(株)が米国ベル社とライセンス契約により生産している204B型は,42年度末までに48機が生産されたが,国内民間用5機,輸出用7機のほかは防衛庁用である。
  このほか,三菱重工(株)は,米国シコルスキー社とのライセンス契約で,S-62,およびS-61を生産している。


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