2 国鉄のダイヤ改正とモノクラス制の採用


  国鉄は幹線輸送力増強,通勤輸送の改善および抜本的な安全対策等を主な柱として昭和40年度以来7カ年計画で第3次長期計画を実施中である。この長期計画の前半が終了した43年10月に,国鉄では計画遂行前半の効果を盛つて列車ダイヤの全国的な改正を行なつた。これは列車の大量増発,スピードアップ,輸送サービスの向上など量質両面にわたつての大規模な輸送改善を目的としている。これを旅客面からみると1日列車本数で277本増,1日列車キロで6万キロの増加となる。特に特急列車および急行列車の増発が183本と顕著であるが,これは都市間を結ぶ主要幹線の輸送力増強と時間距離の短縮を図るためである。このような国鉄のダイヤ改正により 〔1−1−9図〕に示すように主要地方都市への国鉄の時間距離は短縮されることになつた。また旅客需要の季節波動あるいは週末波動に対応した輸送体制の整備を図るため列車の種別を定期・季節・臨時に分け,波動ダイヤを組んでいるのが特色である。一方通勤・通学輸送の改善については,43年度下半期に大都市を中心に263両の車両を大幅に投入し,輸送力増強を行なつた。

  44年5月,国鉄旅客運賃平均15%の引上げを行なつた機会に従来の1等の旅客運賃・料金制度を廃止し,旧1等車を利用する場合には運賃のほかにいわゆるグリーン料金を収受することにしたが 〔1−1−10図〕に示すようにグリーン車を利用する場合の運賃料金は普通車の1.5倍強となつており,従来の1等運賃が2等の約2倍であつたことと比較するとその格差はかなり縮少した。国鉄は一方では自動車と,他方では国内航空との競争に直面している。これらの対策としてダイヤ改正に代表されるような輸送力増強,時間距離の短縮等により都市間輸送の責任を果たしてゆく姿勢を示している。


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