4 ボート工場の現状


  近年,国民生活の安定と所得水準の向上に伴なつてレクリエーション・スポーツを楽しむ人々は年々増加しており,最近はモーターボート・ヨットなどの海洋スポーツが国民の間に普及しつつあり,その需要も急激に高まつている。
  一方,米国,カナダ,ヨーロッパの先進諸外国においては,海洋スポーツは既に大衆化しつつあり,たとえば,米国では1968年に4,000万人が海洋スポーツを楽しみ,1兆円を消費したといわれており,ボートは空前のブームを呼んでいる。
  わが国ボート工業は,需要は伸びているとはいえ,その生産規模はいまだ小さく,発芽期にあるといえる。しかし,海洋スポーツの普及による需要の見通しには明るいものがあり,また世界のボート市場は相当な規模で発展しており,今後有望なレクリエーション産業として,さらには輸出産業としての発展が期待されている。
  わが国のボートの生産は,昭和35,36年頃から活発になり,年々上昇を続けてきた。昭和41年度には3,900隻,7億円であつたが43年度では10,000隻,25億円(一部推定)となつており,最近の生産の伸びは著しい 〔II−(IV)−6表〕。42年度に生産されたボートのうちモーターボート,は92%を占めている。また,材質別にみるとモーターボートの94%は強化プラステックス製であり,その大部分は4m未満の船外機付艇である。

  今後モーターボート・ヨットが大衆化するにつれ,これら小型艇の需要が伸びていくものと予想される。
  このようにモーターボート・ヨットの需要は急速に伸びてきているとはいえ,ボート工業は未だ発芽期にあり,今後レクリエーション産業として発展していくためには,艇置場の整備を行ない需要の増大を図るとともに,生産体制の整備を行ない良質安価なボートを供給する必要がある。


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