2 東海道メガロポリスの輸送


  45年度の東海道メガロポリスの輸送は,3月15日〜9月13日の6カ月間にわたる万国博の影響で,活況に推移した。
  東海道メガロポリスにおける高速道路,新幹線鉄道,航空の輸送機関別旅客輸送人員は 〔1−1−10表〕のとおりである。

(1) 新幹線鉄道

  45年度の新幹線鉄道の輸送は,万国博対策として列車の増発,編成の長大化がはかられた。すなわち,列車回数は,開業当初の1日30往復が,45年には最高108往復となり,朝夕のラツシユ時には国電なみの1時間8往復のダイヤになり,また,ひかりの12両編成が16両と長大編成に増強された。この結果,輸送力が44年度に比べ27.6%増加したこともあつて,輸送人キロは,ひかり28.1%増,こだま17.0%増となつた。万国博関係の輸送人員は900万人に達したものと推定される。
  利用率は,45年度上期は,ひかり72.4%,こだま69.4%と好調であつたが,下期は,ひかり57.9%,こだま64.3%と低下し,年度ではそれぞれ65.5%,67.1%で前年度に比べ輸送力が大幅に増強されたので前年度を下回つた。
  旅客の平均乗車キロは,近距離客の比率が高くなつていることから, 〔1−1−11図〕のとおり年々距離が短くなつていたが,45年度は329.6kmと,万国博開催による長距離客の増大の影響がみられる。

  また,時間帯別の利用状況を45年秋季の調査によつてみると, 〔1−1−12図〕のとおり,東京発でひかりは7〜9時,16〜19時に,こだまは15〜18時に利用率が高くなつている。

(2) 高速道路

  営業中の高速道路は,名神,東名,中央(富士吉田線)の3高速道路と,近畿,中国両自動車道の5道で,45年12月末現在総延長649.7kmとなつている。このうち,東名,名神の両高速道路は,東京・大阪を結ぶ一本の高速道路としての機能を発揮している。
  東名,名神両高速道路の45年度の利用台数は,1日平均でそれぞれ14万台で,前年度に比べ,東名25.2%増,名神14.1%増となつた。車種別にみると 〔1−1−13表〕のとおり,東名,名神ともに小型乗用車を中心とする乗用車が過半数を占め,つぎに多いのが貨物自動車となつている。

  車種別の平均走行距離は 〔1−1−14図〕のとおりで,とくに貨物車のうちでトレーラー,その他バスの走行距離が長くなつたことが自立つている。

  また,高速道路の交通は,日曜,祝日に激増するレジャー交通のため,平日交通に対する休日交通の比率はかなり大きな値となつており,かつ時間帯別の利帯状況は,東名高速道路の東京インターチエンジにおける流出交通量の例でみると, 〔1−1−15図〕のように,平日交通の2方同性と休日交通の1方向性という特徴がみられる。

  45年度の路線バスによる輸送人員は 〔1−1−16表〕のとおり,東名高速道路で266万人と前年度に比べ13.1%増,名神高速道路で202万人と前年度に比べ38.6%増で,名神の伸びが大きかつた。月別には,8月にピークが現われているが,名神では万国博終了とともに10月以降は1月を除いて前年を下回つた。夜行便についてみると,過去2年間利用率は90%以上ときわめて高く,万国博終了後も満員が続いている。利用者は,20代のビジネスマンが大半を占めており,鉄道と比較して運賃が安い,時間帯が良いことが利用の理由になつている。

(3) 航空

  東京・大阪間の航空旅客は,45年度は288万人で前年度より27.0%増加した。しかし,新幹線鉄道とのシェアは, 〔1−1−17表〕のとおり13.1%と,44年度よりやや低下した。

  座席利用率は,輸送力が前年度に比べて33.2%増と人キロの伸びを上回つたため,74.9%と前年度の78.3%を下回つたが,季節,時間によつては希望する飛行便に乗れない状況になつている。


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