3 新東京国際空港


  東京国際空港(羽田)に代わる日本の新しい表玄関となる新東京国際空港(成田)は,航空輸送需要の急激な増大と航空機の急速な進歩に対処できる国際空港として,30年代後半に計画され,41年にその位置が千葉県成田市三里塚地区に決定された。以来その建設は,新東京国際空港公団により進められており,関連する諸施設も政府及び関係地方公共団体等によって進められている。

(1) 建設の現況

  新空港の敷地面積は,約1,065ヘクタールで,東京国際空港の約2.6倍の規模である。この新空港は,61年度の東京地区の国際航空輸送需要に対応できるように計画されており,3本の滑走路のほか,旅客・貨物ターミナルビル,航空機給油施設,航空保安施設等が建設されることになっているが,当面開港に必要な施設として,全面積の約半分に当たる約560ヘクタールの区域に4,000メートル滑走路とこれに付帯する誘導路,エプロン,航空管制通信施設,航空保安施設,旅客・貨物ターミナル等が,航空新時代にふさわしい最新技術を駆使し,既に完成しており,供用開始を待つばかりとなっている。なお,今後整備することとなる空港用地の取得については,民有地約388ヘクタールのうち,48年度末において85%に当たる329ヘクタールの買収を終り,残りの59ヘクタールの未買収用地について49年度中に買収を完了すべく鋭意交渉を続けている。
  なお,新空港関連事業については,事業費が49年3月に従来の2,641億円(47年3月)から2,691億円に変更され,新空港周辺の道路整備,上下水道の整備,河川改修等の事業が順調に進められている。

(2) 騒音対策

  新空港の騒音対策については,新空港の設置者である公団が,「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律」に基づき,千葉県の協力を得て騒音区域内の土地の買収を進めており,48年度末において198ヘクタールの土地を買収している(47年度末まで175ヘクタール,48年度23ヘクタールを買収)。更に,単位時間内における騒音の強度及び頻度が運輸大臣の定める基準を越える場合には,学校等の施設の設置者に対し,防音工事の費用を補助する助成措置を講じている。

(3) 都心と新空港間の連絡輸送

  都心と新空港間の航空旅客の連絡輸送については,道路と鉄道の整備が行われている。
  道路は,首都高速6号線,同7号線,京葉道路,東関東自動車道鹿島線のうちの千葉-成田間及び新東京国際空港線が既に全線整備されており,このうち新東京国際空港線を除き供用中である。このほか,将来の交通の増加に対して,首都高速9号線,湾岸道路を経由して東関東自動車道と結ぶルートが計画され工事が着々と進められている。
  一方,鉄道は,京成電鉄が京成成田駅から空港までの約7キロメートルの延長工事を完了し,国鉄も佐倉-成田間の一部複線化が完成したことにより東京-成田間の輸送力が増強された。

(4) 開港までの問題点

  新空港の開港は,当初計画では46年4月であったが,空港用地の買収が難航したこともあって,その建設に手まどり現在に至っている。一方,東京国際空港は,近年の著しい航空需要の増加によって,その処理能力が限界に達しており,45年8月から増便が不可能な状態となっており,このような状態を一刻も早く打開するために,新空港の早期開港が必要である。
  しかし,新空港へ航空機燃料を輸送するために計画された千葉港と新空港を結ぶパイプラインの建設工事が,47年夏に千葉市内部において工事中断のやむなきに至り,全線の完成にはかなりの期間を要する見込みである。このため暫定的な措置として,公団において鹿島及び京葉両地区から新空港近傍の公団の資材取卸場である成田市土屋まで鉄道によって輸送し,土屋から新空港までをパイプラインによって輸送する暫定方式が計画され,48年10月に着工した。この暫定輸送のためのパイプラインは半ば以上が完成しており,現在,残る部分について1日も早く完成するべく努力を続けている。このほか,開港にとって大きな障害になっているのは,新空港設置反対者等によって4,000メートル滑走路の延長上の場外に建設された2基の鉄塔であるが,この鉄塔については,航空法の違反物件として除去するよう準備を進めている。


表紙へ戻る 次へ進む