1 再建対策の経緯と経営の現状


  国鉄の経営は,昭和39年度に赤字に転じて以来,その財政状態が年々悪化の一途をたどってきている 〔2−2−1表〕
  政府においては,国鉄経営の健全化を図るために,44年度及び48年度において「日本国有鉄道財政再建促進特別措置法」に基づく財政再建計画を策定,実施したが,所期の成果を挙げるに至らなかったため,50年12月に日本国有鉄道再建対策要綱」を,さらに52年1月に「日本国有鉄道の再建について」を閣議了解し,国鉄再建対策の強化を図った。これらの閣議了解に基づき講じられた措置としては,例えば,50年度末の累積赤字3兆1,610億円について,国による過去債務(2兆5,404億円)の棚上げ措置と国鉄による資本積立金(5,604億円)の取崩しを行うことにより,その負担の軽減を図ったこと,51年11月に50%(名目〉増の運賃改定を行ったこと,地方交通線の運営費補助や大都市交通施設の整備費及び運営費に対する補助制度の新設等,国の助成措置の格段の強化を図ったこと等が挙げられる。
  また,第83回国会においては,国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法が一部改正され,国鉄運賃の適時適切な改定が行えるよう運賃決定方式の弾力化が図られるとともに,国鉄の投資対象事業の範囲が拡大される等その自主的な経営を行うための体制整備が図られた。
  しかし,このような施策が講じられたにもかかわらず,51年度においては,9,141億円の赤字を生じ,また52年度においても巨額の赤字が見込まれたため,弾力的な運賃決定方式等の新しい仕組みを踏まえて,52年12月に「日本国有鉄道の再建の基本方針」が閣議了解された。この閣議了解においては,国鉄経営の全般的な見直しと抜本的な経営改善措置を講ずることにより,50年代に収支均衡の回復を図ることを目標としている。


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