第2節 空港環境対策近年の航空輸送の増大に伴うジェット機の運航回数の増加は,交通利便の増大をもたらし航空が国民の足として定着する契機となった反面,空港周辺地域に航空機騒音問題を引き起こしている。特に事態の深刻な大阪国際空港及び福岡空港においては夜間の発着禁止,損害賠償等を請求する訴訟が,また,大阪国際空港においては空港撤去等を求める調停申請が公害等調整委員会に対して提起されており,航空機騒音問題は大きな社会問題となっている。 大阪国際空港訴訟のうち第1次から第3次までの訴訟については最高裁において,第4次訴訟及び福岡空港訴訟については地方裁判所において,現在それぞれ係争中である。調停については,昭和50年10月,11月及び53年3月その一部が合意に達し,残る申請事項については現在調停手続中である。 航空機騒音問題に対して運輸省では,当面公害対策基本法に基づいて48年12月に設定された「航空機騒音に係る環境基準」 〔III−18表〕を指針として種々の対策を実施しているが,53年12月,5年改善目標の達成期限が到来したので,その達成状況を調査したところ,大阪国際空港及び福岡空港等一部の空港を除き,地方の空港を中心に大半の空港においては概ね達成されている。 空港環境対策は大きく分けて発生源対策,空港構造の改良及び空港周辺対策があり,以下それぞれについて現状を述べることとする。
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